ボランティアが終わって帰り支度してたら、ロッカーの向こうで「今日はこれから帝劇なの」なんて声が聞こえる。声の主もわからないまま、思わず「おととい観たけど、すっごいよかったですよ〜」と返してしまった。
他の声が「今は何やってるの?」と訊ね、その方は「『三銃士』だっけ?」と訊いてきた。
・・・・・・
「『ルドルフ』です」
(惜しいっ!とも言えるか)
D.ルヴォーさんの、とても「演劇的な」演出を、井上くんの「演劇的な」演技を、
「帝劇でミュージカル」と足を運ぶ方がどうご覧になったか、
とても感想をきいてみたいわ。
いろんな。いろんな!すごい!!がたくさんあったのですが。
一番のすごいっ!はネ。
帝劇のほぼ裸舞台という、マジ何もない照明だけの超巨大な空間で、
井上くんと和音さんは、延々と延々と離れた場所から無言で見詰め合う芝居で、
恋の成就というクライマックスを成立させてしまったことです。
客席は、みんなで涙をこぼすのを我慢しながら、じっと祝福している。
それにつづく心中シーンは、美しい昇華という幸福に燃え尽きる。
とんでもなく豊かな「死」。
二幕の途中までは、いい舞台だなと思いながらも、
それでもまだ、あそこがここが、あれやこれやと欲張りな感想を持って観てたんだが、
この畳み込んだ幕切れに、
もー、全部、よくなった! 終わりよければすべてよしっ!! 満足ですっ!!!
近松の赤いしごきをイメージさせるような使い方で、赤いマフラーがあり、
舞台上を支配する赤が、新しい美しさで輝くのもステキ。
あとね、別方向にまわるリング状の盆を使って、
映像のコラージュでよく見かける、別シーンのオーバーラップが最後にひとつに合致する、あの気持ちのいいタイミングが舞台の上で再現されてて、
くらりとくる。
この盆でね、
あぅ、『R』で祐一郎さんとちいちゃんがテクテク歩いて作るミザンスが、スマートに再現されてるしぃ。ずるいじゃん、とも思ったぃ。
『三銃士』のときから思っていたけれど、井上くんと和音さんのデュエットは、
ダイナミックな拡がりがあって、声が開放されていて、日本ではちょっと類のないラブソングになるのではないかと思います。
ミュージカルの名曲デュエットを、端から全部聴いてみたいよね。
和音さんはね、
オーソドックスな演技を選んでらっしゃるので、うっかりすると見過ごされそうだけれど、
スゴク底力のあるお芝居をされる方です。
相手を受ける懐が深い。
かわいらしさを、隠し味程度にいれこんでくる、その加減がすごい。
それともアレは天然なのかしら。
カーテンコールでくしゃくしゃっと笑うと、かぁいかったな。
井上くんは、んっとにステキな役者さんになりました。
・・・・・・
え、注文?
あるよ。ごめん。
^m^
だってあなたは、20年後、
日本のミュージカルを先頭きって牽引してなきゃいけないひとりじゃないですか。
(今もされてますけど)
新しい日本のミュージカルをつくっていかなきゃいけない人。できる人。
でも今しばらくは、舞台を抱きしめながら、楽しんでつっぱしれっ。
そう思うので ♪
まあ、あと。根拠なく感じたことを、知ってる誰かに確認してからじゃないと、な。