夕べはめずらしく、さわさわして寝つきが悪かった。
眠れないけれど不快ではなく、
マンションの建物の向こう側が接している世田谷通りの車の音が、なんとなく波の寄せ返しに聞こえ、
シーツではなく、ふんわりと砂にくるまれている感覚だなあと思いながら、からだをゆるやかに丸め、
あたたかく揺すられている感覚。
宇宙に波打ち際があるはずもないけれど、そんな感じ。
ゆりかご?
解放というよりかは、受動。
今日は高速バスの中で、小説をネット立ち読み(サンプルとして冒頭だけ読める)してた。その中の一作は、認知症の父親と反目している娘の話で、
はいはいとか、いやいやとか、突っ込みながら、
数か月前の自分と重ねて、(あえて)生々しく心から血を流し。だらだらと。
ふと目を上げて窓の向こうの風景を眺めながら、
ようやく、他人事のように、父を悼んでいる自分に気づき、
涙ぐみそうになった。
ようやく、自分が緩み始めているのだなと感じた。
人は皆、かわいそう。
だから時には、大きな何かに身をまかせ、たゆたう。