あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

死にかけた話 2

(つづき)

 

入院前々日

自分では胃炎がこじれたと思っていたので、明日はもしかしたら悪名高い胃カメラ飲んで、お薬もらう感じかなぁと考え、

受診の前日は夕飯後から水以外の飲食を控えました。

 

あと、TVや照明のリモコン操作が危うくなった父のため、amazonのセールで「アレクサ」を買ったばかりだったので、見守りカメラの設定。思いがけない活躍だな、アレクサ。父は携帯の操作も危ういので、そこを使えば会話できることも確認しました。

今どきの機器はエライね。

 

ご近所(といっても車で10分w)の仲良しFさんには、病院に行くため半日、父をひとりで留守番させるけれど、もしかしたら何かお願いしますからよろしくお願いしますと了承してもらいました。

 

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入院前日

朝、7時に起きて、おいなりさんや簡易スープやお茶を並べ、「行ってきます」とベッドの父に声をかける。「まだ寝てていいよ」

 

始めていく病院まで、グーグルは車で42分というけれど、他に誰もいないのに前を走る一台の車(結局、目的地が一緒でした)がスローペースで、1時間近くかかりました。途中、追い抜こうかと思ったけれど、たぶん神さまが今の自分に「落ち着け」と伝えていると解釈し、おとなしく走りました。

 

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病院では問診票を書き込んだ後、血圧に体重・身長を計って、別途若い先生の細かい問診がありました。

 

あーしまった。病院の待合室、携帯の電波よわよわだぁ。自宅のアレクサのカメラにつながりません。ええー?

お。一瞬つながった。ベッドがこんもりしていて、父はまだ寝ている様子でした(いつもだったら起きて朝食の時間だがな)。

 

怖れたほどは待たずに、診察室に呼ばれました。

問診票をもとにいろいろ聞かれ、ふと2年前までは区の健康診断を受けていたけれど、この2年はこちらで生活していて受けていない、と言った時点で、先生の手が止まりました。「だったらキチンと検査しといたほうがいいね」

 

と言いつつ、オーダーは血液検査と腹部CTのふたつだけで。あれ、検査のためにオシッコ我慢してたのにいらなかった? 

検査の簡易化も今どきなのかなぁとか考えながら、コロナ禍以降、病院だって余計なことしてられないわよね、とか。

結果が出るまで1時間。

 

ようやく拾えたアレクサの中の父は、ぼうっとベッドの上で日向ぼっこしていました。よしよし。

 

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「チャント検査してよかったよ。大変なことになってた」(あ、お医者の常とう句だ)「胃炎じゃなくて胆石が胆管に詰まってて、いつ爆発してもおかしくなかった。胃炎みたいな症状は、周囲の肝臓とかが炎症おこしてたんだな。このまま入院できる? 明日には手術したい」

 

は? (胃炎じゃないの?)(入院? え?)(手術?)(今日、明日??)

 

あのー要介護の父がいるので、さすがにそれは、

「そっか。預け先はある?」

東京の弟か、……いつもショートステイでお世話になっているホームか、

「あ。そっちがいいな。すぐ連絡できる?」

今、ここ、この診察室でですか?

「いや、さすがにそれはw」

 

わたしが部屋を出ていく際には、「明日の手術の前検査も今日、終わらせておこうね」と、PCにオーダーを出していらしゃいました。

あれ? 明日手術するの、え、確定?

 

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病院なので、入り口近くの電話コーナーまで移動してホームに電話し、父のケアマネさんを呼んでもらい、状況を話しました。「ショートステイの担当者に確認して、折り返しますね」 

ガラスごしの日差しがまぶしく、山梨とは違うように感じました。

 

そして、お友だちのFさんに電話をしかけて、やめました。先ほどから(コロナ濃厚)接触者の有無の確認が繰り返されてるのに、今さら父の世話をしてもらうために自宅に他所の人いれたら、面倒なことになるよね?という判断でした。

 

あー。アレクサつながんない。念のため、父の携帯に何度も電話するが、チットモ出てくれないし。

 

ホームのケアマネージャーさんから折り返しの電話がつながり。とりあえず父のショートステイ2週間をキープしました。そのあとも、細かい確認の電話があり、

待合所で何度も電話に立つ私の様子をみた看護師さんが、

「お仕事たいへんそうですね♡(あこがれニュアンス)」ですと。

 

ベージュのロングコート着てたから余計にそう見えたかな。

校友会の執行部会(リモート)の欠席メールをやりとりしてたのもあるか。

 

せっかくいい感じにくすぐってくださったわけだし、実はこちらはアップアップでパニックで、もう説明も面倒で、

「はぁ(微笑)」の一言で済ませてしまいました。うふふ。おとな、なのよ☆

 

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それから入院の打ち合わせ。

備品はひとそろえレンタルで申し込み。どっちでもいいですよ、とおとなの余裕みせようとしたら、個室は5500円/1日ですと。取り消す!

 

面会リスト(コロナ禍ですから指定以外は会えない)は、考える間もなく「なし!でいいですね」 

は、はい。(ええ? 差し入れ・洗濯、困らないかな。……ま、あとで考えよう)

 

 

お会計は明日の朝でいいですよ。と言っていただきました。そのときはピンときませんでしたが、

すべてを終えて病院を出たのが1時半。会計の待ち人数は10人ほど。たしかにこれからやらなきゃいけない内容を考えると、その30分が惜しい。というわけで、なんて親切なご案内なんでしょうと感謝することになりました。

 

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駐車場の車の中で、ようやくアレクサが安定して繋がりました。おとうさん、遅くなってごめん。あと一時間くらいで帰るからね。「わかった」

 

深呼吸。

 

まず、おいしいケーキを買って帰ろう。

 

小淵沢のお店に目的地を合わせて走り出したら、お。ケーキ屋さん発見。うーん、お高め? こんなものかな? (おいしかったです)

 

 

そして。怒涛の半日が始まります。

そーよ、

わたしの素晴らしい素晴らしい処理能力が発揮されるのは、このあとよ!

 

(つづく)