(つづき)
入院前日-2
病院から家に帰る前に、2個入りケーキと手作りリース(毎年あげているので、朝から車に乗せてた)を持って、近所のFさんの家へ寄りました。
「まぁまぁ、そういうこと(お礼の品のやりとり)はもうやめましょうよ。リースはありがとうね」
違うのっ。これから重大なお願いがあるのっ。
入院するなんて思ってなかったので、わたしはamazonでお買い物をしていました。特に、この直前、何度も購入権利の抽選に外れていたPS5(ゲーム機)が当選し、数日後には届く予定だったのです。これだけは、今さらキャンセルなんて、できませんって。
(くじ運が皆無のわたしにとって、突然の入院・手術というアンラッキーに匹敵するラッキーです。これで相殺ね)
そして、時節はお歳暮。数日後にカステラが届く手配をしましたというハガキもいただいてたりしてまして。
全部、こちらの家に配送するようにしていいですか?
「もちろんよ」
+ + +
父はかわいそうに、飲まず食わずでTVを見てました。
用意してあったのに~ なんで~
+ + +
さて、それからがバトルです。そのためのおいしいケーキだ。
父は、ショートステイが苦手で、嫌いで。実際、お泊りして帰った晩は、手に負えないおかしな状態になることも多く(一時的な認知状態?)、
なのでわたしは、東京に一泊以上しないくらいです。あとの手間を考えると、その方が楽なのです。
父が長期ショートステイを受け入れられるはずもなく。
でも、受け入れてもらうしかない。まあ、いちごのショートケーキ、食べたら?
食べている間だけは、黙りました。
最後にはもう、
これは選択肢の相談じゃないからねっ。わたしが死んで困るのはお父さん自身でしょっ。わたしはこれから、やらなきゃいけないことがいっぱいあり過ぎてパツパツなんだから、もう黙っててっ。訊かないっ。
翌日まで、父はいろいろな提案を組み立ててきたけれど、全部却下しました。ごめんよ。
+ + +
わたしはそういう相手をしながら、バスクチーズケーキを食べながら、今日中にやらなきゃいけないことのリストアップをしました。
大きく分けるとみっつです。
・父のお泊りセットをバッグに詰める。
・わたしの入院セットをバッグに詰める。
・別荘をクローズする準備。
■父のお泊りセットをバッグに詰める
父は、一泊のショートステイのたびに、自分の羽根枕とか、ミニ囲碁セットとか、ふだん飲むコーラをもっていくのですが(あとは推してしるべし)、2週間分の持ち物なんて、どうせよと。
持っていけるものは持たせて、あとはよきようホームにおまかせするしかないとハラをくくりました。
■父の持ち物リストづくり
■父の簡単なトリセツというかヘルパーさんたちへのお願いを書いて、
■プリントアウト
■常備薬の準備
■わたしの入院セットをバッグに詰める
三茶の自宅には、コロナにかかったとき用の入院セットが用意してある(独り身の用心)というのに、なんの役にもたたないなあと、苦笑しました。
備品はひととおり病院で借りられるので、
夜中にふと目覚めて泣きたくなった時、何が必要だろうと考え、
■携帯に元気の出る曲の音源を入れておく
これはリスト順位のラストで、そのころには気力も尽きて、出来ませんでした。『ミュージカル笑う男』を移そうとして、なんでできないのよう~ パニクっているので、ささいな原因に気づけなくて。
ウォークマン、こっちの家においておけばよかったよぅ。
■足りないものを、長坂まで買いに行く。イヤホンの延長コードとか。
なんていうか、父や友人の入院に付き合っていたので、なにが必要か、わりと見当がついている自分で助かりました。
■別荘をクローズする準備。
・冷凍できるものはいいとして、山ほどある野菜をどうしよう。(結局Fさんに押し付けましたっ)
・明日、家を出る際には凍結防止の「水抜き」をする。
・配送物をFさんの家に回すお願いを書いて、玄関に貼る。
■いただいたお歳暮のお礼状を書いて出す。
ケーキを食べ終わったのが、午後3時過ぎだったか。明日の朝までに、これらをこなさなきゃいけなかったのです。
やれることをやって、最後にお布団の中でめそめそと泣こう。
そう決めて、
順番を考えながら、ええ、こなしましたよ。
(つづく)