疎遠にしていた伯父が亡くなった。 電話の父の声が、どこかしら涙ぐんでいる。
それは、悲しいねえ。
わたしの言葉に、父は一瞬だけ詰まる。
いろんな兄弟のシガラミがあるようで、ある一線から先は急に事務的になろうとするのだが。
きっと父には、父にしかわからない思いが重なり合っているのだろう。
一度だけ、ふたりで喫茶店に入った。 どうしてそんなことになったのか。 何を話したのかも覚えていない。
伯父はコーヒーに3、4杯だか砂糖をいれてぐるぐるとかき混ぜた。
伯父さん、そんなにお砂糖入れたら、ビョーキになっちゃうよ。 いいんだよ、これが好きなんだ。
家に帰って、お茶をごちそうになったと告げたら、母がこっそりと、うちの娘の機嫌をとってどうするんだか、みたいなことをつぶやいた。
わたしはそれ以上、話題にするのをやめた。
この2日間、わたしは体調がひどかった。 とりあえず(会社を半休して)たくさん寝ることで治ったのだけれど。
……伯父の最後の苦しさを、替わりに少しは引き受けられていたのなら、いいなあ。
父は今晩、ひとりで泣くのだろうか。