さっきね、
長い時間、心の隅にひっかかっていた恋のカケラを、落としてしまった。うん、底なしに大きな感情とは、別の部分。わたしはそんな枝葉にこそ、自分が見える気がして、大切にしたりする。
それは負の感情として、わたしの中にコチンと残ってしまったもので、でもそれを捨てることは2人の間にあったさまざまな感情ををなかったものにしてしまうようで、だからわたしは、ちゃんと向き合い続けることを選んだのに。卑怯なことはキライなの。自分の気持ちから、逃げたり目をそむけたりするのは、とてもイヤなの。しばらくしてから、これも恋のひとつの形なのかなとも思った。だから、他の誰かから、他の誰かへの想いに包まれようと、ちゃんと小さく残しておいたのに。
わたしがぽろりと落としたとき、あーあという顔をしたのを見て、相手はにまりと笑った。わだかまりが解けたと勘違いしたんだろうね。馬鹿だなあ。(ここを読んで、オマエサンには所詮、資格がないよと思ったアナタは、わたしのコトがわかってます)
そして
そのあとの気持ちも、正直に書こう。
落としたものに、もう手をのばさなかったこと。
落としたというより、部屋の片隅のほこりが、ふわりと蒸発したみたいかなと思い、その表現の軽さに自分でショックを受けたこと。(もう少し、自分は真剣ではなかったのか?)
そして帰り道、今、書いているこの文案を、頭の中で組み立てている自分に気づいたこと。自分の感情を、文章としたいというのは、こういうことか? 自分自身にヒヤリとする。わたしの感情って何? そこまで分析したいのか? 伝えたいのか? 何を? 何のために?
……自分のためだよ、間違いなく……。
そして今、書いている。読むであろう何人かを、思い浮かべながら。わたしのこと、あきれる? かわいそがる? それでも、わたしのこと……?
一番、したくない告白を。わたしは泣いていない。あくびをした。
そして重いため息を吐いた。