あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『三銃士』を10日ぶりに

2011/7/29/13:30-  帝国劇場

一幕が終わったとき、後ろの席のおばさまが、
「こんなの初めて観た」と溜め息をつかれた。 
うくくくくっ! なんてなんてステキなお褒めの言葉だろう。

今まで、誰も観たことのなかったミュージカル、といったら褒め過ぎだけど、
すんげー褒め過ぎだけど、
たぶんこれから、
そっちに向かって疾走していくであろう(してってネ)、今日はそんな舞台でした。

さっき、プロモ・ビデオがアップされたので、リンク
今日の舞台はこれより、もう少しドラマチックで動きが洗練されてました。
明日以降、もっと育っていくでしょう。
おもしろそう?って感じたら、観てみてね!

 

よく古い友人らに、あげんのブログはおもしろく読んでるけど、
舞台関係の文章だけはちんぷんかんぷん。と言われ、
反省しようかとも考えたが、
やっぱり今日みたい↓↓↓のは、わかる人だけわかる関係者向けの文章でしか書けないな。
ごめんなさい。

 

さて、10日ぶりに観て1番のわーい!は、
西野さんの指揮らしく、舞台とオケピが連動してひとつのドラマになっていたことでした。
指揮者・西野はこーでなくっちゃなあ。
客入れ時にオケピから洩れてくる音だけでも、これはもしかしたら!?と、予感させてた。

それから、営業さん、がんばったのかな?って客席も?
今日の舞台を観たあの方たちが、新しいお客をひっぱってきてくれるといいなぁ。

それからそれから、アンサンブルさんたち!
なんとなくひとかたまり!だったのが、ひとりひとりの個性や表情がありながら、ハーモニーとうねりのあるドラマが、かもされはじめていて。

殺陣。 はいはいはい。
わたしが口を挟めないレベルまで、引きあがってましたとも。
特にロシュフォールさん(アイパッチの位置、変えた?)の動きは惚れ惚れでしたし、
銀橋でのダルタニャンとの対決は、きれいで迫力!

井上さんの芝居のもっていき方もあって、
ダルタニャン父の存在が、みんなの価値観の基礎として輝くばかりとなり、
現在をつくってくれた親や祖先に敬意を払おうみたいなテーマが浮かんできたなと感じ、
でもカーテンコールで、ダルタニャン父は別人・宮廷人として挨拶してるなぁと、
ちょっと苦笑。

 

  

今日は、後ろの席のおばさま連の声を、ずっと背中で聞いていたのでした。
(両隣は慣れたファンぽい反応だった)
「クリスタルの天使」で、アトスさんの色気に落ちた、かな? うふふ
ダルタニャンとコンスタンツェのデュエットでも、のぼせたみたいか? うふふふ

アトスとミレディの恋物語にはずいぶん思いいれをなすったご様子で、
抱擁のあとのアトスの態度に、「なんでなんで?」と取り乱されてました。 なんでって、あんなこんなのあとでしょうにと思うのだけれど、感情は別なんでしょうね。

こういうお客さまが、昔ながらの帝国劇場の客席を支えてきたのかな、とか。

 

本筋とは関係なく、
わたしが今日、考えてたのは枢機卿の「ハレルヤ」とか祝福とかについて。
教会が与える光とか傲慢とかの意味。
キリスト教の信仰は、マリア信仰を残して、今後世界的に衰退していくとの予想があるわけで、その萌芽、助走はこの時代から始まってるのかな、とか。

枢機卿のメインのナンバーについて、ついでに言うと、
2幕の「わが心――」は、歴史の中で繰り返されてきた、戦争を決起する政府のもっともらしいグロテスクな言い訳/時代の狂気を、代表しているのかも?とか、
「我を信じよ」は、リズム的に手拍子してノリたいところだけれど、戦争蜂起の歌だから、無理だわね!とか。

 

装置。
ちゃんとチェックしきれてないけれど、使いまわしが、とても意味深になっているのが、ステキなのでした。
はじめて観たとき、最後の最後のシーンで背後の巨大なサーブル(剣)に葡萄が巻きついているのに気づき、平和への祈りだわぁと感動したのでしたが、
今日みたら最初の旅立ちのシーンでもそうで、つまり田舎の表現だったのね、と。

あぅ。 こういう気づきをいちいち拾ってたら、キリがないな。

 

ミレディさんは、
(この名はマイ・レディとも読めるわけで、というのが、アラミスさんの本日の豆知識!でした)
ご自分がもっとスッゴクかっこいいのだと、自信過剰に振舞ってもよいのではないのでしょうか? メチャかっこいいんだから!
周囲の人たちの声や気持ちを肌で感じて、表現ではなく反応としての自分の声を意識なされば、たぶんその不安はなくなるのでは?と感じたのですが、どうなのでしょうね。 違うかな?

 

ダルタニャンの、
パリに出てきたあたりの、3.5枚目ぶり(2でも2.5でも3でもなく3.5!)が大好きです。 

 

あと、やっぱり名曲揃いよね。
ここはジャニーズ系?ここはヅカ系?プログレロッケンロール?アメリカンポップス?正当ミュージカル?と、ショータイムのオンパレード。
でも怖いのは、それを貫いた哲学や幾多もの人生観が、実は見え隠れしていること。
いや、まだ見えてないな。 たぶん、これから。

 

はい、次に観るのはまた10日後です。