あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『マリー・アントワネット』

リーヴァイさんの作品の中で、たぶんわたしが心乱される名曲が一番多いのが『MA』で。日常、ふと頭の中でリフレインされているフレーズに、何の曲だっけ?と考えると、ほぼ『MA』から、なのである。

 

もしかしたら転調が多い? オーケストレーションも繊細? そのへんのことは、詳しい人の説明を待たねば、だが。

 

日本で作られた初演は、いろんな思いを持て余してるような舞台だった。そのぶんカオスな熱量が半端なくて、やるほうも観るほうも、息をつめて時間を共有してた気がする。華やかなうわべと血みどろな叫び。異色なミュージカルだった。

 

再演するときはまず、キャラクターの整理からだろな~は明白だったけど、スターシステム東宝さんではむずかしいのかな、とか思ってたりして。

それが、ドイツ・韓国の演出を経て新しく創りなおされたのが、今回の作品ということです。

 

初日が過ぎてしばらくしてもまだ、観に行くかどうしようかと迷う自分。ふと、東宝ナビザーブ(チケットセンター)のサイトを開いてみたら一発で、2階席A列という良席がとれる日にぶちあたり、チケットを取りました。

Wキャストは、笹本さん、昆ちゃん、古川くん、原田さんの組み合わせの回でした。

 

 

ほぼ新作!の舞台でした。

テキストは一新! 括弧閉じ構成(同じシーンを序・結に持って来る)で、説明的。テーマは最後にみんなで歌う。

半分くらいは新曲で、

群集劇というよりも、全体にわかりやすくさらさらと整理され、首飾り事件もわかりやすくなってたし、

数々の名曲は上手にリサイクルされ、

でも、

大詰めで暴かれる人間の理不尽な残虐と、その中で糸のように輝くプライドや祈りは、ちゃんと残されていた。

 

なので、生まれ変わり、今後も再演できる形になったことに、乾杯! 埋もれかけていた名曲たちに、新しい場所が与えられた!

 

アントワネットの史実がずいぶん活かされてました。国境で素っ裸にされたとか、田舎暮らしという盛大なおままごとを好んだとか。

で、アントワネットの状況じゃ、こういう困ったちゃんな女子に育っちゃうよねえ。という説得力が、素晴らしかった。逆に、フェルセンが純朴な愛を捧げなかったら、かれのこと愛し続けたかしら?とか、ちらと考えたりもして。

 

旧タイトルの『MA』はマリー・アントワネットとマルグリット・アルノ―のふたりの女子の生きざまの交差を意味してたのが、かっこよかったんだけどなぁ。

 

 

カリオストロ(整理されキャラの筆頭w)の哲学的な歌が、オルレアン公が歌う状況説明に使われてたりして。嵐のような時代のうねりというテーマは一緒だから違和感はないけど、なんていうのか、あ、そうなんだ。みたいな当たり前になってて。どうすればいいの、生きるということは?みたいなもやもやが薄くて、とかね。

わかりやすく整理されるって、そうだよなあと。

初演ではじっくり聴かされてた一曲一曲も、あ、もう終わっちゃうのね、はい。まあ、いいけどさ。みたいな。

アニエスの曲が、ランバル夫人(性格や意味付けが一新!)の持ち歌になって生き残ってたのは、うれしかったです。

 

昆さんのマルグリットが、パワフルであるほど哀しくて、自分の中の整理できない想いを持て余している感がステキでした。

TV番組でソニンさんが、日常できるだけしゃべらないで喉を守る!とおっしゃってたけど、確かにマルグリットは叫ぶような歌で舞台を引っ張っていくシーンが多くて、多くて、大変なお役だなぁ。

 

カーテンコールで吉原さんが、昆ちゃん、役から剥がれて現実に戻って来いよ~みたくハグハグしてたのが、ほほえましかった!!

 

笹本さんは、恋する女の部分より、母としての顔に圧倒されるアントワネットでした。

寄り添う子どもと居るソファとか、もう名画。

 

古川くんは、絵にかいたような王子さまぶり。アントワネットの世間知らずを持て余しながらも、惚れた相手には誠意を尽くさねば、みたいなナイトぶりで。一途というよりはどこかで迷いながら、ただできることは全部やったから!みたいなのが、よかったなぁ。

 

さて特筆が、原田さんのルイです。登場した時点で、ルイ16世ってこういう人だったんだろうなぁと思わせる、不器用な自分を受け入れている、おっとりと懐の深い存在感。

 

 

というわけで、観に行ってよかった!!

残るは日本語の演出家か誰かが、細切れ感をなめらかにして、もうちょい気持ちの裏側を掘り下げてくれたら、たぶん、好みなミュージカルになる~

 

BOCA

土曜日に二次会で連れてってもらったお店! 覚書に。

 

www.hotpepper.jp

 

大学のときの友人が、友人のやってるお店だというのだが、オーナーめっちゃステキ男子で、スタッフの女子たちもキュート。

 

シナモンが効いてて、ほんのりとジンが入っているサングリアと、

ピクルス(このピクルス液、あこがれるおいしさ)と、

マッシュルームのアヒージョとつけあわせのパンが、

めっちゃおいしかった! おいしかった!

 

基本がおいしいお店って、信用できる気がするの。

 

その前のお店のおいしい和食で、すでにおなかはいっぱいで。日本酒でぺろりと酔っていたし。で、あまりいただけなかったのが心残り。

 

 

また行きたい。

 

 

少しずつ満足する

八ケ岳の家で使うために、新しいのこぎりを買った。伸びに伸びたかえでの枝を少しは掃うためである。

結論。弘法大師ではない者に、道具は大切。新しいのこぎりは、さくさくと生木を切り落としてくれた。長年の恨みが、少しだけ晴れた気分だ。

f:id:atelier-agen:20181120020940j:plain

切り口には、おくすりを塗る。風に飛ばされ、黒いコートがオレンジ色のしぶきで汚れた。こすっても落ちないな。ん。そのまま街で着続けているよ。

 

9月末の台風で倒れかけてたヤマボウシの1本と、伸びすぎてたジューンベリーの枝も掃う。切り落とした幹や枝は、切り刻んでから片付ける。のこぎりはウキウキととても役に立ってくれた。

 

↓↓ ちなみにコレです

大五郎 鞘付剪定鋸 生木用 270mm

大五郎 鞘付剪定鋸 生木用 270mm

 

 

 

 

スーパーで、いやに安い柿をみつけて、喜び勇んで買った。

食後に剥いていると、先に口にした父が吐き出す。渋柿だった。わたしもかじってみる。まず甘味がきて、そのあと消えようのない渋がきた。

まあ。この渋を抜けば、甘味だけが残るので。

くるくると剥いて、干せるように整える。

f:id:atelier-agen:20181120021651j:plain

ゴミ箱のビニール袋を拾い上げると、シールには渋柿でも干柿用でもなく、「干し柿」と書いてあった。はあ、そうですか。

ちなみにへたの部分は、紐を結べるようにT字型に残されている。確かにそこは干し柿用。

 

スーパーで、やっす~い☆と喜んでるわたしを、周囲の人たちは気づけ気づけと思っていたのかなと考え、軽く笑いがこみあげた。

 

 

人を喰う

ゆうべは少し寝つきが悪くて、伯爵さまの歌を2曲ほど聞いてた。

 

暗闇の枕の上で、にまにましているのだった。なんでこんなに好きなんだろう。

ふと、

どこかで人を喰ってるよな、と思う。一方で、愛にもあふれてるんだけれど。いたずらっこな笑みを浮かべて。

 

ん?

 

お気に入りの大道芸人さんたちも、そんなタイプばかりだな。と気づく。

 

 

 

上質に人を楽しませるって、そういうことなの? 

『メタルマクベス』disc3

@ IHIステージアラウンド東京

 

f:id:atelier-agen:20181113025150j:plain

豊洲駅ホームから撮ったお写真。右端に劇場が写ってます。

 

ついに行ってきましたヨ。

360度のステージに囲まれた客席が、シーンにあわせて回転する劇場。ステージが閉じられている部分の壁には、疾走感あふれる映像が駆使されて、テーマパーク的な大迫力でした。

客席が動く感覚、なんか懐かしい?と思ったら、キャッツシアターの盆でおなじみだったんだわ!

その客席のムービングと、映像の浮遊感が相まって。

演出も、舞台機構を存分にびっしりと使いこなしてて、それは見事でした。

 

 

下手エリアの、前後は真ん中あたりの席だったのですが、舞台は前の席の人の頭でゼロ番(舞台センター/主人公たちの立ち位置)がまるで見えません。先日に続いてずっとからだを倒して観るはめになりました。

幕前に、必ず背中を椅子につけてご観劇くださいと繰り返されてましたが、その前に設計者呼んで来~い!です。

 

そして最悪なのは、音響! 歌だと気にならないのですが(メタルロックだから基本、大音量)、台詞のときにね。ラジオノイズめいた台詞の音が、正規の音からコンマ何秒か遅れて別途再生されて聞こえるのです。なんで? 後ろの席で、誰かがずっとおしゃべりしてる感覚。これがすんごく疲れた!

細かいSEは、動作に合わせてその場から聞こえてくるように設計されてるし、褒めたいとこなんだがなあ。(あれ、都度、手入力ですよね。すごいな)

 

f:id:atelier-agen:20181113025130j:plain

 

さて、マクベスです。

昭和の小劇場特有の、猥雑や無意味さや錯綜に、存分にお金をかけてる!のが、時代だなあとわくわくします。

 

そして。

 

今までいろんなマクベスを観てきましたが、今回はじめて、こんな構造のおはなしだったんだ! こんなにもロマンティックな夫婦の愛のものがたりだったんだ!と魅せてくれました。

ふたりきりのときのバカップル(これ死語?)ぶりからの、かかあ天下(これも死語?)ぶりは、抱腹絶倒からの、壮絶。

頂点をつかんだはずなのに崩壊していく中、うららー(浦井クンのこの呼び方、気に入っちゃった☆)が長澤まさみちゃんに寄り添い歩くのが、慈愛に満ちててほんとうに美しいのですよ。

 

長澤まさみちゃんがもう、すべてがスレンダーで、かっこいくて、かわいい! 今を生きる素敵なマクベス夫人です。ローズって名まえが設定されててよかったよね。

 

うららーは前任者たちの台詞口調を踏襲しているのか、妙な語尾が、わたしには気に入らなかったりしてw  ちゃんとシェークスピアを歌える人なのになあ。それから。舞うようなチャンバラぶりが大好きなので、そのシーンでストロボ焚かれてると、いらーん!とか心の中で叫びました。

 

 

そうだ!

一瞬映る、うららーのロックバンド時のアー写が、若いころの祐一郎さんトートにちょっと似てた気がする~ (≧◇≦)

ってか、エリザベートの闇広のパロディが掠るんだけど、客席の誰も反応してなかった! うららーがルドやってたの知る人は、今どきいないのか。新感線☆観る人たちは東宝ミュージカルなんて観ないのか。めっちゃ残念! ひとりで手を叩いてました~

あなたがミューファンなら、チェックしてきて~! 反応してきて~! ですよ!

エリザベートの前バージョンのパロディなので、今の舞台しか知らないとわからないですが)

 

冒頭のベビーメタルネタも、あまり反応されてなかったかな。

ってか。わたしが見落としてるパロディも、いっぱいあるんだろうな。あれ、えーとコレ、なんだっけ?なとこもありましたし。

ちなみに「最上階の鉄塔で電源落とす」のはFF7ネタであってるかしら。心の中でひとり、わーきゃーポイントです。

 

 

 

山田和也大先生だったら、トムさんだったら、この劇場どう使うのかしら。

新感線☆の2.5次元的な芝居じゃないと、あの空間は持たないのかしら。