20数年前の舞台のVHSを観るというのは、実は、なかなか胸の痛むことだった。
亡くなった方が多くて。 多くて。
懐かしくしみじみと拝見できる方もいれば、胸が絞られるように痛む方もいらっしゃる。
落涙。 合掌。
そして何よりも、この舞台の持つ端正で重厚な宇宙感は、
たぶん、この時代だからこそ持ちえた空気で。
そっか。 これは、この20数年で、失われた演劇なんだナ、と。
同じ演目は、同じ劇団で再演されているけれど、違う匂いになっているはず。
(演劇が今を生きる人間に対応するナマモノである以上、違っていなければオカシイ)
ふーん。
昔のアートは、
こんなにも大勢の、いろんな我慢や、犠牲の上に、なりたっていたんだと、
だからこんなにも、泥から咲いた清廉な蓮の花のように透明なんだと、
今ね、ようやく、見えた。
ね。 今の時代では、もうあり得ない。 そういう透明である必要も、ない。
ああ。 でも、宇宙、か。 そうか。 人の向こうに見える、宇宙、ねえ。 演劇、が、