あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

だから しゃべれないのですが!

抜いた。 下の前歯を6本。 
4時間経過。 部分麻酔がすでに切れたと思う。
今のところ、すンごく疲れてる普通の人です。 熱はあるけど。
痛くない。 
抜歯後のお約束で、できないことはいっぱいあるけど。
痛くないです。 すごいね、技術。 拍子抜け。
結構、しゃべれます。

 

タイトルの意味は、  

抜いて縫ったあとを止血ガーゼで押さえながら、ナースがいろいろと話かけてくれる。
わたしの口に指を突っ込んだまま。
「大丈夫ですか」
ほがぁ (たぶん)
「部屋、暑くないですか?」
あぁあーぅえう (大丈夫です)
「え? 寒いの? ちょうどいい? 違う?」
あああああ。
「痛みはどうですか? 痛いですか? 痛いですよね」
あのぅ、はい・いいえで応えられる質問にしてくれないと……。
無理です。
情けないのとアホくさいのとで笑っちゃいました。

歯医者を出た直後あたりは、下顎が麻酔で麻痺状態。
血まみれのよだれを垂らしていないか(完全に感覚ないから)、絶えず口元を触っている。
見た目は本人の感覚とは別に、普通なんだけれど。
処方箋を持って、薬屋さんへ。
おやじさんが、しゃべる。 しゃべる。 質問形で。
本来、会話のあるお買い物というのは理想なのだが。
全身全霊でさりげない感じのいい会話を。 内心は大いに冷や汗。

 

家に戻り、12時半を過ぎたところで、
事務的な電話を1本。 義歯にあたって舌ッ足らず。 何度か言い直す。 ゆっくりと話す。
はうぅ。 2分間の集中で、疲れました。

あとはみんな、メール。 エライなメール。

 

みしみしぶぎっと一番つらい瞬間、
この間、観たときの「R」のワンショットを思い浮かべていた。
精神的にキズつき辛いことよりも、肉体がイタイほうが我慢できるはずって。
肉体の痛みは、いずれ癒される。

あの日、わたしにも響き伝わった痛みは人間の悪意がベースにあるので。
「相手にしない」が唯一の答えだと思う。
そして救われないのは、わたしたちではなく、無邪気な悪意を放った側だから。
わたしたちは、まっすぐ前をみていようよ。