あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

青果鹿の「がめつい奴」を観た

                  2007/1/8 14・00〜 麻布 die pratze    /青果鹿 

早く早く、書きとめておかないと、せっかくの印象が時間の中に埋もれてしまう……と、少し逸る。 おもしろかったぁ。
この公演のふたつの特徴は、お鹿婆をごっつい男性(shinoくん!)が演じたことと、劇場が狭い空間だったことだ。 以前観た、名だたる俳優さんによる大劇場でのものより、スピーディで人間臭くてよっぽど楽しい。 大名作もこんな形で甦ると、ちっとも時代を感じさせない。
どこのどなたとは言わないが、少し見習えばおよろしいかと存じます。   

お鹿婆を女性が演じると、たぶん「女」を捨てようとする。 でも shinoくん/犬塚浩毅 は眼をぎょろつかせながら、なんともいえない女っぽい仕草を細かく織り込む。 ご自分では青島幸男意地悪ばあさんをとおっしゃっていたけれど、いやいや、とってもかわいらしくて、たくましくて、んで……もっ、おっかし〜っ!! (終演後、その格好のまま礼儀正しい男に戻ったかれと少し立ち話をしたけれど、妙に気恥ずかしくて♡) 

狭い劇場の最前列。 膝頭の50センチ先は舞台だ。 役者くんが地下足袋を履く動作をすれば、かすかに臭うし、シーンによっては頭の上で怒鳴りあい。 米が床にこぼれ、みかんの皮が山のように飛び交う。 あの大喧騒の中に自分が引きずり込まれるわけ。 そりゃもう、わくわく。 

お鹿婆の養い児テコの使い方がうまかったなぁ。 女優さんもチャーミング。 こんなところにたぶん、演出家の人間性があぶり出されるんでしょうね。