数年前、定期健診でお医者に言われた。 (わたしは、要経過観察レベル)
「ストレスを解消するには、ふだんとは違う場所に行ってください。 いつも乗る電車を、逆方向に乗るとか。 自然の中で何もしない時間をすごすとか。 家でからだを休めているだけでは、ストレスは解消しません」
金曜日に工房で作業しながら、休日の過ごし方を「真剣」に考える。 わたしの精神状態は、たぶんストレス飽和状態に向かいつつある。
根拠はないけれど、そんな気分に縛られている。
多少、手を入れたぐらいでは、肩こりとか疲れとか、あっという間に元に戻る。 これは絶対に、ストレスが根っこにある。 何かをした方が、いい。 しなくちゃ。
(生活から、TVゲームを切り落としたのがいけなかったのかなあ?)
土曜日は劇作のワークショップ、日曜日は美容院の予約。 月曜日、ひとりでどっか行くか? 美術館、水族館、鎌倉……。
しかし、秋の三連休だよ、どこでもきっと家族連れとカップルで混み混みだよな〜。 逆にストレスになりそう。 キレることで発散するというのも、ヤだ。
土曜日、ワークショップがいつもと違う会場で、おそるおそる世田谷線に乗る。 十年?ぶり、2回目?かな?? 以前気まぐれで使ってみて、あまりにトロくて、以来、遠回りでも渋谷・新宿経由を使っていたの、だが。
世田谷線というのは、三軒茶屋-下高井戸間の超ローカル線。 たぶん道路横断の際の信号待ちもある。 住宅の隙間を走る路面電車とでも言えばいいか。
「(わあっ、わあっ、わあ〜っ)」 子どもみたいにコーフンして、おでこを窓ガラスにくっつけるように、外の風景に釘付け!!
ガラス戸つきの縁側のあるおうち、毛づくろいする三毛猫、物干し台のあるおうち、銭湯の煙突、線路沿いのネコジャラシ。
自分の住んでる街なのに、このレトロ感・小旅行感・アングラ芝居感は何なんだろう。
極めつけ。
やがて暗い空を背景に、低いビル郡の側面が夕日を浴びてオレンジ色に平らに染まる。
自分の乗った電車のシルエットが、次々とそこを流れていく。
う、美し〜っ。 感動〜。
日曜日の午前中、
本棚から古いお香が出てきたので、焚いてみる。
不思議なフォルムで、青白い煙が立ち昇る。 眺めながら、他に行こうと1歩動く。 煙が渦をまき、流れを変える。 わたしは息をのむ。 自分の動きで、空気はここまで動いているのか……。 動く、待つ、手で煙をはじく、待つ、手刀を横切らせる、待つ。
ええ、ご想像通り。
舞台の上で、ショーになるか、考える自分がいる。 誰かやってみないかな?
これから、美容院に行ってきます。