最近の手触りとして、わたしが思っている以上に、世の中はおしゃべりの下手ばかりなんじゃないの?と感じている。
この場合のおしゃべりは、仲良し以外の人と、です。
だから! わたしを世の中の基準にしちゃイケナイ、のはわかってるけど。
つまんなくないのかなあ。
以前、話の流れで若い友人に「だって何を話せばいいのかワカラナイ」と言われ、
そーいうときは相手のことを質問するんだよ、と返し。
その後。 かれはいい感じに、初対面の女の子にちゃんと「質問」をしていたのだが、会話はそこで途切れていた。 (やれやれ)
質問するにも、そもそも相手に対する興味がないとダメ?
あと、自分が少し下に出るっていうか、相手をくすぐるスタンス?
好奇心、という言葉について考えてみる。 あのね、自分には当たり前すぎて、この言葉と向き合うこともなかったことに、気づく。
そうか、わたしは好奇心が強いのか。 知らないことを知りたい意欲。 わくわく。
生物学的には、精神が子ども=成長段階だということらしいが。
「いろんなことを知ってるよねー」と言われる。 や、知ってることしか話してないからと応える。
昔、まんが家をしてたので、とりあえず何でも取材したいスタンスはあるのかもね、とか。
内心では、人間としての基本よっ!と考えてたりするのだが。
あるライブで、バリトンサックス吹きが後ろのテーブルに座った。 わたしは飲み物だけ持って、椅子を一個ズラしてそのテーブルに座る。
それまでご挨拶くらいしかしてなかったが、チャンスチャンス。
少し会話があたたまってきたあたりで、
あのねあのね、素人な質問でごめんなさいね。 バリトンってユニットの中で音楽の底をがしっと支えているって印象があるんだけれど、それってどんな感じ? と訊く。 言葉が下手だなと思いながら、とりあえず、言葉になる範囲で訊くしかないもの。
「うーん。 それは、つまり、えっと、底を支えてるって感じかなぁ」 苦笑、爆笑。
違う〜 わたしが訊きたいのはそこじゃなくって〜 と、言葉を捜すが見つからない。
(かれはユニットの中で年齢が若いほうなので、そのへんとの兼ね合いを訊きたかったのだよね。 と、今なら言葉にできるんだが)
「オレね」と笑いながら、かれは継いだ。 「バリトンは基本、リズムセクションだと思って、リズムを刻むことを意識しているよ」
うあっ。 目の前がぱぁっと啓けた。 そぉなのかぁっ。
わけのわからない質問から、プロの視座が両手の中に落ちてきた。
金管楽器がリズムセクションにもなるナンテ、思いがけなすぎる。 そしてその日以降、バリトンの音が違って聴こえてくるようになったのは、言うまでもない。
(そのあと、テナーサックス吹きがやってきて、またまた貴重なお話がこぼれてくるのだが、
また今度ね。 そのうち書くことにはなると思う ♡ けど)
先日、当然のことだが、山梨の家で、父はひびちゃさんのCDを聴かされ、わたしからあれこれ説明を受けることになるのだが。
自分の知識は古い映画で得た範囲だがと言いながら、「つまりジャズでもベースは入ってないわけだね」と。
はい。 受け売りの出番です。
だからたぶん、代わりにバリトンサックスがね〜 (あれ? 違うのかな?)
と、わたしの中から、プロっぽい言葉がこぼれてくる。 えっへん。
こうして、なんでも知ってる(知ってないって!)あげんさんの、出来上がり?
ほらね。 わたしの人生が楽しいのには、訳があるのだよ。