あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『グレイ・ガーデンズ』を観た

2009.11.9. 18・30〜 シアタークリエ

なんか。
カーテンコールでの吉野さんのけぶるような笑顔に、どきどきどき。 席のすぐすぐ目の前でございました。
かっこいい、よな〜。 こーいう笑顔を持っているオトコは、ずるいよな〜。
なので最後 ↓ に、特集「考察/吉野圭吾」とか……?

 

ストレートプレイに歌を挿入しました!という風合いの不思議なミュージカルでした。 不自然というわけではないのですが。 回を重ねてこなれてきたら、もう少し別の印象になるのかな。
新しいパターンのミュージカル、とは言える、と思います。
何が何でも明るく強かでドリーミーなアメリカンミュージカルのようで、
人間の持つ暗さ……ではなくて、重さ……苦さ……深さ。 言葉みつからないな。
かっきりとした人間のドラマと、あやふやなものの上に成り立つ強い絆、が描かれています。

そして演出の亜門さんマジックは顕在。

映像もうまく使ってあって。 (ネタをバラすのがもったいない)
第2幕のワンシーン。 ゴミ屋敷に猫たちと過去のイメージたちが浮かび上がるのは、魔法の一瞬。 溜め息です。

すンごく痛い、上質なストレートプレイの台本を、何故ミュージカルにしたのか。 いろいろと考える。 考える。
が、さっきドキュメンタリーの映像の一部を観たら、何のことはない。 大元のご本人たちの日常がミュージカルだったのでした。

草笛光子さんが、素敵。 ドアから出入りするだけで、絵になります。
大竹しのぶさん、極上にドレスアップしたレディから中年貧乏女の醜悪(そこまで見せますか?)まで、一気に魅せてくださいます。
おふたりの持つ感情の揺れと対決はさすがで。 本当にすばらしく。

それでも、
光枝さんや吉野さんが歌いだして初めて、舞台がミュージカルの空気になったのは。
(もちろん、芝居もかっきり。 でしゃばらず、受け止めて、静かな主張もしてらして)
ミュージカルを描く身体……というのもあるのかな、とか考えさせられました。 音楽の染みこみ方? 感情の魅せ方? うーん。 なんなんだろうな。
歌が、違うものになってるというのか……? 

 

吉野さん。
そりゃ、かっこよくて。 たばこをくわえてグラスを置いたピアノを引く、金持ち女の愛人役が、もーーーっ、似合ってらして。 
なんでこの方はこう、いつもスタイリッシュに決めてしまうんだろうかと思う一方で。
だから。
いつも。 
もしかして、そういう役しか振られてないのではないのかな?とか思ってしまい。 
期待されて、それに応えて。 
わたしが知らないだけなら、いいんですけれど。
この方の内面。 もっと面白いはずだから。