あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『ピランデッロのヘンリー四世』を観た

                        2009/2/14 14・00〜 シアタートラム

どうしようもないことだってあるわよね、と。
訳知り顔というか、妙な優しさ混じりにため息をつく(何様な)ワタシ。
だって役者陣も演出家も演劇に対して真摯な方たちだし、
技術スタッフもきっちりと世界を創っていて。
なのに舞台が眠いのは……。

熟成していないというより、演出家に時間が足りなかったのか。
ベストは尽くしたんだと思う。 演出家は誰よりも熱心で勉強家な演劇人だ。 でも届かなかった。 そんな印象。

手ごわい戯曲なんだと思う。
骨格はシンプルなんだけれど、
だらだらと同じことを繰り返している台詞が多く、説明過多だからテンポをつくるのが難しい。
古びた大仰な台詞と日常のシーンのメリハリも。
そしてその奥から、人間の多面性(狂気とごまかし)という悲喜劇をあぶりださなきゃいけない。

何故眠いんだ? どうすれば人物の意識の流れにメリハリが出て、客席が引き込まれるんだ?と、あくびを噛みながら、観ている。
人物の造形が中途半端なのか? 欧米人でも日本人でもない、昔風に言えば「赤毛もの」を演る日本人って方向性のあやふやさがスベっているのか?
その役者独自の愛嬌が、引き出されていないからなのか?
観客は優しい。 笑えそうなところはちゃんと拾って笑う。 そうでもしないと、チケット代返せと後悔してしまいそうだから、進んで受け入れようとしている、ような。
舞台は充分、美しい。
でも眠い。
舞台のうえに、人間の魅力が花開かない。 最後の一行が怖くならない。 もったいない。

うん。 このテキストのテーマは大好きですよ。 
狂人の中の真実と虚構。 取り巻く常識人たちのごまかしと嘘、もしくは社会性という狂気。

 

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イタリアの作家。 もしかしたら原文は、もっと取りとめもないだらだらした台詞回しなのでは?と、ちょっと嫌な予感が……?