あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

「エクウス」を観た

昨日、シアターアドバイザー時代の友人と会い、
そのあと、ウマもひねれば、ああいう表現もありなんだなあ、と思いながら池袋の劇場から帰ってきたら、
ポストに、現役でシアターアドバイザーを続けている友人からのはがきが入っていました。
しかも「エクウス」の案内。 
笑っちゃった。

そうか、チケット、余っているのか。 天下の劇団四季でもストレートプレイは辛いんですか。 (そりゃあ、ああいう客層の育て方をすりゃあ、ね)
 
わああ♡、ダイサートは日下さん? (もう、他の方がやっているかと思っていたのに)
だったら、行こう! 行かなきゃ!

日下さんの芝居は、わたしの演劇観のコアな部分をつくっていると思う。 (わたしの感性を育てた劇団四季のリーディングアクターですから)
この数ヶ月で激変したわたしの観劇感覚で、
日下さんを、
そして「エクウス」を 観ること(いっちゃんの劇団最後の舞台からだから、10数年ぶり?)は、
とてもどきどきすることだった。

「エクゥゥゥゥスゥ」 つぶやいてみるだけでも、どきどきする。
わたしに語らせたら、長いゾ。
昨今、自分の書きたいものの原点だと気付いてから、でもまだ一度も戯曲を読み直していない。
劇団四季の台本は、3分の2くらいに切り刻まれているのだけれど(腹立つが、上演時間を考えるとそーなる)、
今の四季の役者の表現力で観るのもどうかと思うのだけれど。

いんだよ、日下さんの台詞を聞きに行くんだから。

 

                    2007/7/22 13・00〜 自由劇場 / 劇団四季

当日券売り場で「四季の会の会員ですか?」と聞くから、いいえと答えたら、ぎょっとした顔をされた。 正価でチケット買うことが、そんなに不思議なのか? (大丈夫か?)

ロビーに足を踏み入れても、すでにスタッフに知る顔はない。
昔の恋人と、心穏やかに会えてしまう寂しさが少しだけ、よぎる。

ここの客層も、独特のにおいがある。 お行儀がよくて、生活にそこそこの余裕があって、主張がない人々。
あら、小学生たちがいるけれど。 
すっぽんぽんのおにいちゃんとおねえちゃんが抱き合うシーン、大丈夫かな。 何かを、受け止めてね。 わけがわかんなくてもいいから。

日下さん。
お年を召されて、ゆえになのか、ひと言ひと言ゆっくりとそれは丁寧に、言霊を発する。
そ、
ひと言ごとに確実に、魂が込められ、宿っている。 すごい。
観客に問いかける部分、
わきに退き、メインビジュアルを言葉で補う部分、
自分の悩みと対峙する部分。
たぶん、たぶんね。 台詞の届き方が違う気がする。

おまけに、最高なことに、
アラン・ストラングがよかった! とってもよかった!
共感できるというか、真剣に見守ってしまうというか。 
声に表情があって。 表現が素直でわかりやすい。 役をちゃんと分析している。

20年前、アランはかなり精神が特異な17歳だったのに、
今、観ていると、少年犯罪の基本バージョンというか、ありきたりの日本の14歳だなと感じる。 
怖いことかな。 
自然なことなのかな。

そして今まで全然、気付かなかったことに、今日始めて気付く。
ダイサートは最後に、自分の苦悩と正面から向き合い、受け止めたわけでしょう。
かれは、自分の情熱を手に入れたってことにはならないのかな?
(舞台上の表現では、その可能性は潰されている)