ふとテレビをつけたら、アイルランドの風景が流れていた。
古い城壁に、ウイスキーの蒸留所。 大聖堂。
藤原新也さんだかの写真と紀行文に魅せられて、一度行きたいと思ったことを思い出した。
北の暗さと力強さを感じさせる深みのある色の海。
落ちてきそうな空。 雲。
雨交じりのような空気。 もしくは潮風。 (イメージです)
ケルト民族は「空が落ちてくる」ことを最大の恐怖だと考えていた、とか何かで読んだとき、不思議なセンスだなと思ったのだけれど、アイルランドの写真を見て、空の重さが日本と違うのかもしれないと考えた。
その場に行かなければ、わからない風は、きっとある。
サトクリフの小説(かの女が書くのは古代ブリテンだが)を思わせ、胸痛く刹那くなるような(小説のイメージですね)狭く几帳面に角ばった黒い石の城壁と、のびのびと取り囲む緑の丘。
その番組では出てこなかったけれど、確か蒸留所にはウイスキーキャットと呼ばれる猫がいる。 ネズミを捕る仕事を果たすプロとして職人さんたちと同等に扱われている、とか。
漁師さんたちは確か、アランセーターと呼ばれる生成り色の奥さん手編みの分厚いセーターを着ていて。 ぼこほこなわなわの網目は、家によって違う。
海で溺れた水死体は、人の形を留めていない。 セーターの網目のよってどこの誰だか区別するために。
……とか。
ケルティック音楽を始めて聞いたのは、ファイナルファンタジー?の特別編集バージョン。
剣と魔法と哀しみと希望の世界を裏打ちしてくれる、素朴で明るく強かなアレンジ。
プロのミュージシャンはいないのだと注釈があった気がする。 その演奏しているのは、学校の先生とか普通の生活をしている人たちだと。
先日、ごっちゃんから久しぶりにどっか海外旅行に行かない?と誘われた。
いや……。 時間はあるけど、お金がなぁ。 微妙で決心がつかないよ。
(そうそう。 余っていたチケットは、結局かの女と観ることにした)
でも。
アイルランドは行きたいかもなあ。 思い切って、行っちゃうかなあ。