あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『LIVE BONE』

森山開次さんが踊るのを見ていると、
 
宇宙と命を繋ぐ人間を越えた存在 を感じるときと、
子どもをあやす父親/人間そのもの を感じるときがあり、
 
今日の作品は、その両方がキメラになったやわらかな作風で。
 
 
一方、大真面目なオチャメさんもちりばめられていたので、
いつになく、手を叩いて大笑いしたり、
あっけにとられてキラキラしい圧巻の血流に呑みこまれたり、
 
 
1時間半をかけて観終わったあとには、
いろいろな感情を通過し、昇華されている自分の感性に、
笑い出したくなるような幸せを感じたのでした。
 
 
 
子ども向けの番組で始まったモチーフが原点のせいか、
わかりやすい、具象な、大道芸的なあしらいが多くて。
客いじりも客上げもあったし。
 
開次さんから「肝臓」をなげつけられ、受けとったわたしとしては、
休憩時間に回収に来た若い愉快なダンサーさんをいじり返さずにはいられなかったわけで。
(予定調和を壊す傾向は、キムさん仕込みです)
 
アートシーンのステージというよりは、
多くの可能性を秘めた遊び場だった気がするのでした。
 
 
子どもたちに観てほしいな。ぐちゃぐちゃになって一緒に遊んでほしいな。
と思う。
そうすると、ダンスとしての作品ではなくなるのかな。
イベントになっちゃうのか。
 
そのイベントをアートだと解釈できるほど、
日本人のアート感覚(と経済)は成熟していないかな。とかネ。
 
などと思いながら見ていましたが、あとから読んだパンフによると。
今までがそんなイベントめいた自由な作品だったのを、
今回、劇場空間にとじこめて、アートにしたらしい???

 
 
 
わたしは「開次さんの」作品だと言ってしまっているけれど、
実際は、
美術家さん、音楽家さん、4人の若いダンサーさんらとのコラボです。
 
からだのパーツをあやふやにかたどったオブジェがテーマになっていて、
 
その、とても雄弁なオブジェに制約されるパフォーマンス。
マリオネットのように動かされるオブジェを見てればいいのか、
オブジェを動かすダンサーさんたちを見ていればいいのか、
人とオブジェが入り乱れるボリュームを見ていればいいのか、
 
血管レースのタイツにつつまれた、いつになくエロい開次さんのからだを
ただただ追いかけていればいいのか、
 
チョット戸惑いながら、観る。 
 
 
オブジェは制約や異物なのだけれど、
エフェクトで遊び倒した音楽は、動きや表情のきっかけを引き出しているな。
そのあたりの、盛り付け具合が
喉に小骨がひっかかってくる感じで、おもしろい。
 
 
最初は小道具や衣裳のパーツめいていたオブジェは、
やがて装置に、風を孕んだ空気に近い存在になっていく。
 
開次さんのからだに、ヒカリが、エネルギーが宿り始め、
ふくらんでいく。
 
ほんとうに、ぶわっと。からだが一回り大きく見えてくるのよ。
 
 
 
そうそう。
 
あの動きは、
生き物の進化。サルから人間へ、越えた存在へを表していたのかな?
最後の動きは、赤ん坊から胎児へと逆回りしてたのかな?
 
まぁ。どうでもいいのだけれど。
 
ダンスの動きが何を意味しているかナンテ、どんどん関係なくなっていく。
 
豊かな空間のうねりに巻き込まれ、居合わせたみんなで共有している感じ。
 
あらゆる思想や宗教を、宇宙という真実に握りこんでいく感じ。
 
  
↓↓ゲネの写真を含む作品サイトはこちらです
http://livebone.kaijimoriyama.com/
 
 
 
 
若手の四人が、ひとりひとりステキなダンサーさんたちでした。
 
おひとりが、めがねのおでぶさんという、ダンサーさんには珍しいキャラで。
パフォーマーとしてユニークな言語を持ったからだをしてらした。
いいなぁ。
これはひとつの新しい道が開拓されたかもね。
多摩美の在学生だって。おおっ。
 
 
 
 
ところで。
 
パンフの写真。身悶えするほど大好きな写真があります。
 
 
 
ああ。大好きすぎる。きゅんきゅんだぁ。
 
 
 
 o(_ _o) アア モゥ ダメェ …… バッタリ
  
(結局最後はミーハーなオチでした。ごめんなさい)