三茶de大道芸 関連の公演が劇場であり、商店会のおじさまと、その作品についての話題となる。
「オレ、観たよ。あれ」
おもしろかったね。
「そうかい? オレにはちょっとむずかしかったなあ」
わたしにはコンテンポラリーダンスとしてくくられる感覚の作品だったが、技術的に現代サーカスになるらしい。
確かに、アクロバティックなエアリアルがたくさん出てきた。
ただ。魂が暗闇と孤独の中、未来に向かって浮上していこうともがくような、クリアで、わかりやすい作品だなと、わたしは思ったんだ。伊藤キムさんの昔の作品を思い出した。
あーいう作品はさ、具体的に理解・解釈するよりも、舞台上で起こってることをキッカケに、自分の過去とかを思い出したり、あーアレはそういう意味だったかぁとか、自由に考えたりできるようになると、
たぶん、おもしろくなってくんだけどなぁ。
「へーそうかぁ」
うん。
「途中でさ、言葉をしゃべろうとして、あぅあぅ言うヤツがでてきたじゃんか」
そうそう。初めて何かに、気持ちが動かされて、自分も何かをしたかったんだよね。きっと。
「それで、初めて、しゃべろうとした、のか、ヤツは」
ちょっとせつないというか、きゅーんと来たよ、わたしは。
「そっか。。。そういうふうになあ。次に観る機会があったら、そんなふうにしてみるよ」
確か、大昔。キムさんが言ってたと思うんだけど。
生活に疲れたあるおばあちゃまが、魔がさして、たまたま劇場に迷い込んで、生まれてはじめてコンテを観て。わけがわからないけれど、とてもおもしろい!って感じたんだって。
そうして、
そんなわけのわかんないものを、おもしろいと感じた自分自身に、すごく感動したんだって。
わたしはね、この話がすごくすごく好きなんだ。
ところで。
上の写真のポスター。めっちゃくちゃ美しいけれど、ステキだけれど、客寄せになっているか?はちょっと疑問だったりするのね。どう思う? では、どんなのだったら、みんなが劇場に迷い込んでくれるのか? うーん、わかんないわね。