さて二幕めになって。
わたしの周辺の客席では、何人もが居住まいを糺したり、祈るように指を組んで息を飲んでいたり、
で、わたしはというと、若い人たちが深く心震わせてるなぁというその感覚に包まれて、囲まれて、それがとてもとても幸せで。
やがて後半の畳みかける疾走感に、わたし自身の気持ちも巻き込まれ、大きな充足感に満たされました。ほぅ。
はじまって四分の一くらいは未だ、あーどうしましょここに座ってていいの?どこをどう楽しめばいいのかしら(ごめんなさいね)とか感じてたのに。
この較差はなんなんでしょ。終わりよければ文句言うな!ってことかしら。
理屈とか好みとか、そういうものをガツンと越えてしまう何かってあるのよねえ。
そうそう。なんでこんなに理解できない世界観なんだろうと考えていて、これは妹視座の価値観だからか?と今回、思いつきましたよw だから長女にはイラッとくるのか?
アイシスさまのブラコンも基本、妹の視座です。断言。
さて。なんで二回目?って、Wキャストを両方を観るためです。観劇日の間が二週間空いていますので、切磋琢磨しあってるであろうキャスト同士を比べるのは、意味がないと思ってます。きっと一緒に進化成長し、同じ密度の芝居を、日々展開しているのだろうなと思います。
それでね。今回、終幕にかけて圧倒的にわたしをストーリーに巻き込んでいったのは、キャロ江ちゃんでした。
Wキャストの相方が絶対歌唱力の聖子さんというのは、比べられたりとずいぶんキツいことなのではと思います。うん。技術的にできてないこと多いしね。でもね、それは逆に、できる範囲のぎりぎりを毎回全力で勝負しているということで、その説得力たるや。想いの変化や決心がぐいぐいとこっちに迫ってきて、気持ちが一緒に引きずられて、とても素晴らしかったのでした。
この方、怒ってブンむくれた表情が魅力的だわね。他に類のないタイプのミュージカルヒロインの誕生かもしれないわ。
ただ、聖子さんと作り上げた?キャロルのブリッコ風な部分は、圧倒的に似合わない(たぶんキャロルがわたしの趣味ではないのです)と思う。もうちょっと違う角度から責められないかしら~ きんきん声できゃらきゃらしてるのがキャロルらしさなの?
宮野さんのイズミル(初演から四回目で初めて観られました)は、男子のタイプ(趣向)として、けんちゃんとの差別化があって楽しいわ。この方はメリハリのあるとてもわかりやすい感情表現で、こういう2.5次元ミュージカルに似合う演技ってこれなのかな?とか感じました。
イズミルのお衣裳やウィッグだと隠れてるけど、もしかしてこの方も今どき風の猫背?とか。ほかの舞台を観てみないとわからないわね。
彼方さんの熱心で緻密な役作りにも感動しました。他の演者とのからみなし、セットなしという過酷wの中で、たぶんご自身の脳内で周囲の状況や配置を計算して、描いて、実感しながら、百二十パーセントの演技をしてらっしゃるのかな?とか。それを帝劇空間でやってるんですもの。そのパワーに圧倒されましたよ。
で、気づいたんだけれど。アイシスさまも実は案外、他とのからみが少ない?
メンフィスと階段で対決、そのあと絶望するシーンは素晴らしかった!けれど、他のシーンが、この先どうやってひとりで深めていこうかと迷っていらっしゃる?という気がしたのでした。(どうなんでしょう)
もしそうなら、ヒントは彼方さん方式なのかも???
もひとり、他とからみの少ないイムホテップさま。モノローグすらない。
ラストのお歌は、あー主人公たちのお着換えタイムの尺あわせなのねぇ。とかw
いや。
おおらかに、たゆたうように、張り上げることなく静かに、のびやかに、フォークロアに。解決が回収されていないタイムスリップネタが、なんとなく納得できちゃうような、人生観みたいな、結論みたいななにかが醸せたらおもしろいかもな~とか、思ったよん。新しい歌い方の開発をしてみたら、みたいな?
えっと。最後に。
けんちゃんは、この公演は勝負どころだィとめちゃくちゃ気張り続けていて。マジそうだし、これは本人に少しリラックスしたらとかいうべきところではなく、走り抜け!なので。ほんとうに、頑張れ!なので。
周りの方たち。特に女子かな? 裏ではやさしく甘やかしてあげて~ よろしく~