観るたびに、微妙に別のおはなしとして訴えかけてくる不思議なミュージカル。
昨日の舞台は、なんていうかな、
痴話げんかっぽい過去のなれ合いとか、人間としての裏表を前提とした笑顔とか。みなさんのキャラクターの裏打ちが深くなっていて、
おとなの恋愛、おとなの芝居としての熟成、おとなのミュージカルをとろりと演じられる役者さんたちが大勢育ってきている日本のミュージカル界の熟成などを感じたのでした。
今のかなめさまと祐一郎さんで『リトルナイト』のデジレとフレデリック観たいなとか。禅さんと祐一郎さんで『ゴドー』を観たいなとか。
祐一郎さんはアルフレッドの役をモノにすることで、役者としての可能性をひろげた気がするのです。よれっとしたシャツとパンツで労働者っぽくぼーっと立ってる風情が似合うとは、今まで考えたことなかったもの。
そして自分でもちょっとショックだった感想は、
市長や市民や嫁や友人の選択や狂気も、拝金主義とか死刑とかね、それもかれらなりのある種の正義なんじゃないの? だから誰も咎めてはいけないのでは?と感じてしまったことでした。正義!
たとえば市長が自分の若い嫁と生まれてくる子どもの生活の豊かさのために、友人をひとり見捨てたとしても、ね、それも正義でしょう?
価値観や選択の自由、という言い方でもいいかな。
それを変だと感じたからとて、嘲笑したり軽蔑してはいけない。相手の尊厳を守るべき、べきなのか? うーむ。
工場を原発に置き換えたら、今の日本に近しい印象になるかしら? うーむ。
ただその中で、自分は何を美徳として誠実でいるか、他人の選択とは関係なく自分はどう生きるか?と選択するのか、目覚めたアルフレッド(とクレア?)だったのね、とか感じながら、観てました。自分の信念。
あとね~
大先生への私信?
後半、みんなが自分の芝居をしっかりたっぷり見せたがって、ちょっとリズム感がおかしくなってる気がしたのですけれど、あれはあれでいいのでしょうか。
そのあとにくる「茶番」という単語がなえちゃうんですよ。