あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

気持ちをほどく

「クレームこそチャンス」だと教わったのは、
津川雅彦さんが経営してたおもちゃ屋に勤めていたときでした。
 
クレームに対して「そこまでしてくれるのか?」というレベルまで誠意を尽くせば、
結果、ご希望にはそえなくても、
クレーマーはこちらのファンとなって、熱心にご愛顧くださる上客に変わる。
 
 
ホラ。ここ、メモしておくとこよっ!
 φ( ̄▽ ̄)
 
(ちなみに流行の「お も て な し」も、そういうことですよ〜)
 
 
そして、今回の三茶de大道芸でのわたしの応用を書いておきます。
相手の気持ちのほどき方。
 
参考になる人たち、いるんじゃないかな。
 
 
 
 
土曜日の某会場。
実は6時で閉める予定が、それまでのパフォーマンスが押し押しで、
最後から2番目のパフォーマーが終わったのが、6時。
 
会場付きの商店会のおじさまに
「あとひとりのショーが残ってるわけですけど、どれくらい押してもいいもんですか?」と訊きに行くと、
「30分で上がればいい話でしょ」と言い放たれました。
「雨もパラパラきてんだしさ」
 
なんて会話を、もちろんパフォーマーに伝えるわけもなく。
 
そしてショーがはじまり、
お客さまたちは熱く盛り上がり、ショーは当然30分を軽く超え、
クライマックスでは金色の紙ふぶきが撒き散らされる――
 
笑笑っ
ちらちらとショーを楽しみながらも、いらいらと待っている
商店会のおじさまたちの神経、逆撫でしただろうな。
会場に撒き散らされた紙ふぶきは。
 
 
投げ銭の時間に、テントに飛んでいく。
この、飛んでいくという態度もポイントです。
「すみませんっ。箒とちりとりをお借りできますか?」
そして、こちらで掃除する《意思》を伝える。
「あーやって撒き散らすの、どうかと思うんだよねえ」と来た。
「そうですよねえ。でもみなさん、喜ばれるし――」
お。黙ったな。
 
それから。
パフォーマーと投げ銭+握手+記念撮影するために列を成した人々から、
少し離れてにこにこと、

足元に箒とちりとりを置いたまま(掃除する意思はありますよ〜)、
(でもせっかくの楽しい雰囲気を壊したくないので)もう少し、様子を見てます〜、
というスタンスを保つ。
 
 
「掃除はもういいから。雨も降ってきたし。明日やっておくよ。あなたも大変だね」
いえいえいえいえ♪ (笑顔)
 
おほほほほ。
そのあと、すぐに雨は止んだんだけれどね。
そして、
もしかしたら、かれらも大道芸のファンになってくれたかも、しれない?
少なくとも、大道芸という特異性に少しは理解を深めてくれたかもしれない?
 
 
つまり、まあ、これも。なごやかに事を収めるテクニックだと思うのよ。

 
 
 
雨の二日目。
低い天井の広くない会場で。
 
通行人の動線を捌く警備員さんの声が、一生懸命にでかい!
ショーの邪魔になるくらいに、でかい!
 
ふわりと近くに立ち、にっこりと目を合わせる。
相手も、「???」という笑顔になった。
「ありがとうございます」
「え???」
「整理していただいて」
 
それから、会場の空間を指差して、
「でもこんな状況ですので、できれば声をもう少し、トーンダウンしていただけると」
「あああっ! そうですよねっ」
 
とっても気持ちよく、応じてくださいました。
うん。
ご自分もショーの空気を立ち上げている一員なんだと、意識してくれて。
そのあとは、ご自身もパフォーマーの如くやわらかく笑顔で客の動線を誘導されてた。
 
相手の立場を認めて、感謝してから切り出すのも、
はい。テクニックのうち。
 
 
 
大道芸フェスだが、
関係者の誰もが大道芸ファンだというわけでもないし、
慣れているわけでもない。
 
当然、摩擦も起きるわけだけれど。
 
ちょっとした心遣いで回避は簡単。回避どころか、新たなファンとして巻き込めるんだよ。