あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『コンパスグルグル』

最初に妙なこだわりから書くけれど。
グループ名の「トバズニハ」の読み方なんだけれどネ。
 
わたしはずっと「トバズニWA(いられない)」と読んでたんだけれど、
劇場の事務局にチケットを取りに行ったとき、係の方が「トバズニHA」と発音したんだよっ。
んんん?
まさか劇場の方が間違えるはずないじゃない。
それにキムさん(総合演出)、ときどき変なこだわり方するしなぁ――って勝手に納得しちゃって。
 
だから、別の場所で川瀬さん(音楽)に「トバズニHA」って発音しちゃったぃ。
 
今日、全員が「トバズニWA」って発音してて。
かかか関係者、出て来ーいっ!!って気分でしたワ。ぷんぷん。
 
 
 
SePTとキムさんの企画によるユース(中高生メンバー)チーム。
各界プロの講師陣のワークショップを重ね、音響・照明・舞台美術等もプロにフォローされて、
(なんて贅沢なんだ!)
きちんと料金をとっての発表会。
 
これが懐深い、高みに手が届いたような、スゴクよい舞台だったんだ!!
 
そりゃできてないことも多いけれど、
補って余りある、
昔のキムさんを思い起こさせる甘酸っぱい匂いの。
 
うっかりと。
こないだの京都造形大のコたちよりもステキかも?と、言いかねなかった、くらいの。
 
こっそりと。
キムさん、最近最大のヒットな出来の舞台じゃないの?と、思ったくらいの。
 
 
そりゃ川瀬さんの音楽に、かなりフォローしてもらってたけどね。
(きみたち、気づいてたのかな?)
ってか、川瀬さんの音、いいなぁ。
こどもたちの緊張がダレてきそうな箇所で、音の表情を少しだけ切り替えるから。
勝手にステップアップしたように見えてしまうの。
 
こどもたちがアフタートークで「うまく出来なかった!」と言ってたシーン。
きみたちが描きたいであろう世界を、音と音量が背中を押してたのだヨ。
 
 
 
さて以下は、わたしの勝手な印象です。もしくは、鏡にうつされた自分自身なのか?
 
実際は船旅をイメージして組み立てたパフォーマンスだったようですが、
わたしにはまったく別のイメージが広がってたのでした。
 
 
まぁね。中学生のこきこきした細い腕だけでも、ズルイほど魅力的な絵だよなあ。
それに夏休みの生徒たちという先入観もあったのかな。
 
桟橋と呼んでいたものも、机にしか見えなかったし。
その前に座る白シャツの少年。懐中電灯とくれば、夜の教室で。
 
音を出す小道具は文具のバリエーションにしか見えず。留めは、何冊もの古びた本。
 
 
わたしには
夜の教室に浮かび擦れる、昼間の生徒たちの人間関係の残像にみえちゃったのよ。
 
 
キムさん(もしくはわたしが)ずっと抱えている人間関係のテーマは、
クラスの中の密やかな「疎外感」なのかなと思ったり。
 
わたし自身の高校生活の軋轢や甘酸っぱさの印象が薄いのは、
女子高だったせいや、
絵やまんがを描くことばかりに専念しすぎて、クラスの人間関係に無関心で。
(ある意味、かなり醒めてましたし)
今にして思えば、
つまらない、もったいないことをしたのかなぁという後悔だったり。
 
だからのびのびと自分のからだとことばで、メンバーと関係性を築いているこどもたちの、
ひとつひとつを楽しめたし。
その向こうに見えるキムさんのくせみたいな匂いに、
くすくす笑ってしまったし。
 
 
 
しっかし。こんなこどもたちの舞台でも。
終演後のロビーは、ダンス関係者ですよですよという顔がみっちりとよどんでいて。
わたしは逃げ出したのでした。
 
どうも苦手だ。絶対に苦手だ。
  
 
 
 
もひとつ。
 
トラムは、わたしが自分の声を響かせたことのある劇場で。
客席の顔・顔・顔に、気持ちを慎重にひろげて延ばして、引き寄せてみた空間で。
 
そのせいか、どこか皮膚一枚でつながっている感覚があるみたいで。
 
で。で。で。
今日、客席に座ったとき。
――劇場が泣いている? という感覚に皮膚がざわざわした。
これはなんだったんだろう?
 
ごめんね。わたしにはどうしようもできないよ。そんな思いを返したら、すぅと消えた。
 
 
劇場も、無償の愛をほしがっているのかしらね?