あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

daichi@井の頭公園

やさしい10月。生きているとこんな奇跡な日にめぐりあう――

 

daichiさんのブログにぽつりと書いてあったので。
平日の朝11時の井の頭公園に向かう。

10時半。ひんやりとすがすがしい朝のつづき。
渋谷駅のホームで、うつむいて掃除のカートを押すおじぃさんに、
毎日こんなに遊んでいる自分は少し後ろめたさを味わう。
人生、考え直すべきかしら?

公園を行き交う人々は意外と多い。
地図の看板をたどり、足早に向かうが、目指す方向に人だかりはない。

高い枝から、やわらかな陽射しが落ちてくる。巨大なけやきの木々の根元。
老若男女の日常にまぎれて、ぽっかりと大きな空間があり。

パキリとした色合いの服を着て、空を見上げるかれがいた。
叫びたい声を飲み込むような美しい絵。無音。周囲のざわめきが遠のく。

 

人知れず始まっていた「感覚の開放」「共振」。←たぶん、ね。

 

15メートルくらい手前で。けやきの根元に座り込む。
空間をこわさないように。でも触れる距離。
ふと、となりの木を見ると同じような母子。やがて向こうにもうひとり。
最後に来たのは、めりちゃん。
以上。通しで参加した観客は以上で全部。なんという贅沢。

他の居合わせた人。たまに立ち止まって行き過ぎる人などは。みんな借景。
おもしろい。
daichiさんという非日常な存在に、瞬間は足をとめ、横目で眺め、ココロをかき乱されるけれど、すぐに忘れて背をむけ、日常へ溶け込む。

はだしで枯葉にぱったりと倒れて動かないかれに、どきどきと戸惑い、見回したご婦人が、座り込んだわたしと目が合い。
わたしがくすくすと見ているので。
大丈夫なのね、これはアート???なのねと納得し、去り。

見る側、見られる側という感覚の交錯が、なんとも面白い。
daichiさんだけでなくて、
見物であるはずのわたしたちも、見られる側で。
でもそれを見ている方たちも、わたしたちから見れば借景のうち。

 

「終わりですっ」と言ったdaichiさんは、見回してはじめてわたしたちを認識したみたい。
「気持ちよかったぁ!」

わたしは昔、稽古で1回だけ死体の役をしたことがあるけど。
人間としての感覚を閉じ、表層の感覚だけを研ぎ澄まして周囲をさぐるの、気持ちいいんだよねえ。たぶんそれに近いことをしていたからだだったんじゃないかと思うの。

「またやりたい!」「日の出と一緒にやりたいなぁ。朝の5時から?」
「電車が動いてないからこられません」と、他の方が代表して答える。

 

スタバでみんなでカフェしながら。話しているうちに。
そんなに話してもいなかったと思うけど。
daichiさんは、も1回やりたくなってきたっ!と、腰をあげる。

はぃ? 

追いかけながら「どんだけ自由なの?」とめりちゃんと笑い転げる。
あのね。めりちゃんも、こんくらい自由でいいんだよ〜 「そっかぁ、いいんですね!」

というわけで、第二場開演!

 

陽射しが午後の色合いを帯びてきた。ちょっとしか時間がたっていないのにな。

んん。
今度は、観客を意識しているからだだな。さっきは自然としか会話してなかったけど。
なんでそう感じるのかはわかんないけれど、わかる。

 

さて、そしてクライマックスなコメディ。

自転車に乗ったおまわりさん登場。
「ちょっと。大丈夫なの? はだしで倒れてる人がいるって通報があったんだよねえ。許可は得てるわけ?」
ヘブンアーティスト』と書かれたボードを指差されても、意味がわからなかったみたい。

権力?と芸人、1対1のつもりだったんだろうけどね。
おやおや?という顔のわたしたちに囲まれ、気弱な口調になったところで、
たぶんわたしの背後に来ためりちゃん(注・超美人さんで眼力がハンパない♪)と眼があったとたん、膝が折れてた。
マジ、コントみたいな捨てゼリフを残して退場。

 

『ヘブン』まだまだ知られてないんだなぁ。(一応、井の頭公園のココは定点で、いつもは他の人がやってるはずなのよ)
んん。
大道芸らしい大道芸とか、音楽とかだったら、パフォーマンスとして理解できたんだろうけれど、妖精さん(?)の踊りでは、おくすりにラリっているおにいちゃんにしか見えなかったのかしら。

 

というわけで、
すっごく濃いアートを体験させていただき、
投げ銭を出すタイミングを失した。次回、一緒に払おう)
daichiさんやめりちゃんと、はじめて、いろいろと自然なおしゃべりができて。

うん、ちょっと。普段はできないような内容のおしゃべりだったのかも。
おまわりさん事件のあとだし、さ。
daichiさんのまっすぐでぴちぴちな感性がフレッシュ。かぁいい。
めりちゃんからは、ブログ書いてますよね?と訊かれる。えへへ、今日も書いちゃったよ〜

 ^m^ 〜♪

 

 

そのあとは、ひとりでぶらぶらと井の頭公園を楽しむ。
楽しいよ、ここ!
動物園の鳥や動物たちが、慣れてるせいか自然体で近い近い。よく鳴くし。
彫刻館はエネルギーがとぐろを巻いてる感じでチョット怖かった。

晩秋は日が落ちるのは早いわね。一人遊びでも三時間くらい、あっという間でした。