あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

ミュージカル『ロミオとジュリエット』を観た

2011/9/28 1:30〜 赤坂ACTシアター 

久しぶりに。
舞台を観る快感とは、このカタルシスだよねえと思い出しました。
ステキでした。 ありがとうございます。

今さらだけど、演出の小池先生、スゴイです。 
特にイントロと終幕は、演劇史上に残ると言っていい、美しさとドラマティック。
死のダンサー(だっけ?)が、とにかくかっこよくて、効果的で。
存分に、歌声を「楽しませて」くれたキャストのみなさんにも、ブラボォ、です。

客席を驚かせる、揺さぶる、喜ばせる、端的でメリハリのある演出。 (ケレン、か?)
ミュージカルの最終目的は、やっぱココなのかなあ、と思いました。

  

宝塚で上演された記事を読んだ頃から、観たいと思っていて、
ロックンロールでポップで現代的なロミジュリ???
でも、宝塚のチケットって、どうすれば手に入るの?とぼんやりしているうちに、

この公演が決まり。 
売り切れ直前ぎりぎりに、慌ててチケットを押さえたのでした。 
一階後方中央。 でもこの劇場だと、そんな位置でもとても観やすい。 

 

ケータイとかメールとかノートPCとか、ストリート系のちんぴらたちが出てくるヴェローナ
ジュリ・ママの設定が凄すきて、ひっくり返りそうになります。

小劇場系の舞台が、本流を壊そうとしてやりたがるような解釈を、
商業演劇代表タカラヅカの大演出家が、ショーにまとめちゃったスゴさ。

んんん。 シーンを数え上げて、すごいすごいと言ってても、キリないな――

 

シェークスピアの『ロミ・ジュリ』は、最も有名な芝居であると同時に、困難な芝居でもある。 と、ほとんどの人は気づいていないと思います。

「少女が少女の役をするのは、事実であって真実ではない」みたいなことを言ったのは、加藤道夫さんだったか。 その意味で、ジュリエットは特別で。 少女という事実によって、この宇宙の真実を引き出さなきゃいけない。  
浅利慶太さんは以前、ロミオが似合う役者とジュリエットが似合う役者が出会えるのは奇跡、という言い方をしてました。
この舞台でも、歌がまだちょっと不安定で、棒立ちな新人の女優さんの一生懸命だからこそ、生まれた清冽があるように感じます。 ここにこだわったことが、実はすごいのだと気づく人は、たぶん少ないのでは? 

そして、3つのシーンをいかに清らかに美しく仕上げるかにかかっていると思うのです。
バルコニーと、朝を迎えるベッドと、霊廟。 ねぇ、ステキだったなぁ。
ちゃんとちゃんと、お約束!をわかって丁寧に作られてる!ってだけでも、とても嬉しい。

いくクンはちゃんと、抱きしめられたい、キスされたいと、観客が願うようなロミオでした。 

 

と、この先は、ナニサマ目線な細かいことを書いてしまうのですが。
いくクン、もっと自分の感性に自信を持っていいんじゃないかなぁと思いました。 あ、ちゃんと出来てたよ。 それでも、
ね、それ。 あなたの呼吸や感性がやりたいことなの?と感じるポイントが、いくつもいくつもあって。 Wキャストのお相手(観てないけど)に、引きずられてないかな?ってね。 あなたの答えは、もっと別なトコにありそうだよ。 ってコレ、以前の他のお稽古場で、誰か(誰?)にも言われてませんでしたか?とか。

一番あれれ?と思ったのは、ジュリエットと「出会えて」ない。 あのシーンは『WSS』の体育館のイメージから脱却しようと大騒ぎな演出がついているけれどね。
あなたのからだと気持ちが、ジュリエットと出会えていれば(今は、「とまどって」見える。 「とまどっている演技」ではなく、「役者がとまどって」見えてるよ)、いらなくなるかもしれないのだよ。

「出会える」演技のヒントは、「マイム」という本にあると思うので、そのうち読んでみてね。 この本、後半は仮面劇とかクラウンとかについてになるけど、演じるからだという意味で、大切なエチュードが書かれているんだよ、と、これは他の人たちにも、言いたい。

 

なりゆきで、この春、禅さんのジャベだけ観そびれたことが気になっていて。
だからジュリ・パパの歌は、うれしかったです〜
浦井さんもそうなんだけれど、
そのシーンで何を客席に届けるか?が明確な役者さんが、
舞台を締めるのだなあと思いました。

それから理生くん。 あなたは、なんでもいいから、まずストレートプレイ(ナマの舞台で)を100本くらい観てくる。 自分だったら、という置き換えをしながらです。 その向こうに、今のあなたが探しているものがあるような気がしますよ。

 

 

 

先日の圭介くん演出の『ロミジュリ』のときから感じていたのだけれど、
シェークスピアは手ごわいです。 特に言葉。
でもね、骨格が魅力的。 いかにも、芝居、で。

このミュージカルを観て、特に乳母さん(クラウン/道化)のあり方について。
よくよく考えてみたいなあ、と。
それが、今後のわたしの課題。