あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『M!』を観た

ミュージカルを観て、一晩たっても幸せであることも。 幸せでいられる自分であることも。 すごくウレシイ。 羽にくすぐられているような、幸せ。

実は昨日は昼過ぎから、わくわくしていたはずの胃がひどくむかむかとし始めて(朝食の消化不良?)、夕方の電車の中ではモウ冷や汗がだらだら。
でも友人みゆのチケットもわたしが一緒に持っているのだもの。 約束の時間には劇場前にたどりつかなくては!
そんなだから観始めは、手の甲のツボに爪を立てながら歯を食いしばりながら、チョット朦朧としていたのだが。 観ているうちに復活。 先日この声に、眠れぬ夜を熟睡に導いてもらったけど体調不良にも効くらしい?とか。 
[E:happy02]

8月に採用取消しというメに遭ったあたりから、リクルート活動の熱が冷め、いやモトモトなかったでしょうと言われれば返す言葉もないのだけれど、だから貧乏な隠居暮らしを選択することに傾いている昨今。
ミュージカルのチケットは高すぎる。 この作品は両方のヴォルフを観たい!というみゆと一緒に、2回(月に1回)だけ観劇というプラン。 今回は山崎ヴォルフ+香寿公爵夫人。

2010/11/20 17・15〜 帝国劇場

すっかりと作品が洗い張りされて、新しい感動!になっていました!
演出の趣向が変わったわけではなくて。 芝居のあり方と振り付けが少し変われば、訴えてくるものがこんなにクリアになるのか!と驚きました。
演出家さんの意識・祈り?が、舞台の向こうに構築され始めたというのかな。
二幕めの半ばで、それまで自分や家族のため?に作曲していたヴォルフが「大衆のため」と意識しはじめる切り替え、それが最後にはギフト(神から贈られた才能)と決別してただのひとりの人間として創作に向き合う意識の切り替え(ゆえの破滅)。 そういうふくらみが醸されてきたような。

各自のコミカルな演技をはっきりと魅せる方法は、この作品のカラーにあってました。 今は少しわざとらしいかもしれないけれど、この空気が形式として馴染んでみんなの身についてきたら、日本のミュージカルの新しい味わい、に繋がりそう、かも? 
阿知波ママ+シスターズの小悪魔風なアッケラカンあたりとか。

井上さん以外のヴォルフを観るのは、初。 
山崎さんはミュージカル『サ・ビ・タ』での、花柄ワンピース+ミニタリーブーツの「着こなし」と、はじめさんとの掛け合いの呼吸がとてもキュートだったのね。 その期待はハズレず。 
ヴォルフという役の青春の苛立ちがとても似合っていて、それからこの方はとてもくっきりとした芝居をなさるのだなぁ、と。
魅力的で、応援したくなるような胸がちくんと痛くなるようなヴォルフ。
アフタートークでちょっと中途半端な時間が出来ちゃったら、それじゃあ、ボクはっ!と客席を1周駆け巡り、ハイタッチしてまわってらした。 なんてイイヤツ!
あの垂れ目がかぁいいっ!と、みゆ。 うん♪

ちなみにみゆのお気に入りはケーゴさんです。
終演後、お茶をしながら(わたしの胃が食事を受け付けない状態でしたので)あれやこれや、あそこがここがと話題に上る。
あ。 アフタートークでご自分を実はネクラですとおっしゃってたけれど。 ひとり遊びが得意ってだけじゃないの?と内心思う。 ひとり遊びってか、弛まぬ孤独な創意工夫、自問自答。 創作者の基本。 んー、そっか、世ではそれをネクラって称するのか??

市村さんの終盤の立ち姿。
あのバランスは、もしかしたらのもしかしたら、なのだけれど。
からだはがたがたのよぼよぼになったけれど、プライドと気力と生活習慣に裏打ちされて背筋はしゃんと保とうとしている、父親の哀愁を目指しているのかな?と。

そういえば、えっ光枝さん?と見えたあの方は、松澤さんなのだろうか?

 

祐一郎さんは。
ここずっと帝劇の舞台が続いているから仕方ないのかもしれないけれど。
声の拡がりが、帝劇という小屋のサイズ(少しはみだしめ)に、きっちりと四角い形に聴こえたんだ。 その向こうまで届かなくても、いいのか悪いのか。 
次が他の小屋にうつるから、気にしなくてもいいのかな、とか何とか。