2010.8.16. 19:00〜 スズナリ
石原燃から、今度こんな企画に参加するんだよと告げられたとき、
スゴイじゃん!と驚く一方、
自分の書いた言葉を渡辺えりサンがしゃべるというのはどういうことなんだろうと、
とてもうらやましかった。
若手の女流作家の書く短編4編を、ジロドゥの『オンディーヌ』の台詞で繋いで構成した
渡辺えりのひとり芝居。
演劇とは、人間の欠点と愛らしさを陳列する「見世物」なんだなと、とても原点なことを楽しませてもらえる空間でした。
えりさんは女優として、とにかくチャーミングで何をどうみせても、「魅せる」から。
客席が全員、温かで幸せな気持ちになってしまう。
テキストと役者との出会いの妙、というのもおもしろく。
他の作家さんたちはえりさんの作風とも近くて、いかにもえりさんの世界。だった中で、
(身びいきもあるかもしれないけれど)
燃のはチョット違っていて、シビアで辛く、でもえりさんは当然、素晴らしい演技をされていて。
そのバランスが、とてもよかったような。
そういえば、あのヤカンの使い方。
最初の台本からあったのか、燃に聞くのを忘れたな。
『オンディーヌ』の台詞(訳が違う方のだった)を懐かしく聞きながら、
ハンスは当然、昔むかしの祐一郎さんの声や立ち姿がオーバーラップする。
傲慢で愚かで明朗で若々しく美しいハンス。
微笑みながら、透明なまなざしで、語り続ける3幕め。
封印してあるビデオを今見ると、さて、どうなんだ?と
さっきからモノ入れの扉越しに、奥の奥を睨んで、迷っている。