バスの中。
延々と大声で、ちっちゃな子どもがぐずるのが続いていた。 お茶 飲みたい って単語が混じってたかな。 仕方がないよなと思いつつ、まあ仕方がないよねと重ねて思う。
しばらくしたら、男の声が混じりだした。
前の席のウザそーな若いヤツが、母親に罵詈雑言を浴びせ、やめない。
えーと。
乗客のみなさんは、首と背筋をのばして見守っている。
なんでこーいうとき、わたしの役割になるのかなぁと思いつつ(他の半数はオトコなのに)、
立ち上がる。
背中に、一斉にほっとした空気を感じる。 おーい。
おとこをチラ見してから無視し、若いママに。
大丈夫? 後ろの席に移る?
「平気です。 次で降りますから」
気丈なママで、ほっとする。
背中に手をかけ、気にしなさんな と声をかける。
おとこは、わたしに何か言おうと口を開き、やめた。
ふてくされて、前を見て座りなおした。
元の席に戻り、窓の外を見ていた。 膝が軽く震えてた。
この先に発展しなくて(今度はわたしが絡まれるとか)よかったよ〜。
バス降りてからも、劇場の前に並びながら友人に声をかけられても
すぐには現実に戻れなかった。