さて避暑のついでに、どうせなら一箇所くらいはご近所の観光をしようとサイトを探したら、
「みそぎ神社」という神社に、池を伴った能舞台があるらしいと知る。
しかも8/3には薪能があるらしい。
そして山梨のおうちにいったら父がちらしを見せてくれた。
8/27には、別の場所で別のお能の公演があるらしい。
どうしよう。
どちらかのその日、東京からお能を観に来るかなぁ。
というわけで、まず「みそぎ神社」の能舞台(と神社も)を見にいく。
水の照り返しが軒下に揺らめき、美しい。
なるほど。 ここで薪能を打ったら、なかなかの幽玄になるかも。
(この条件でシェークスピアが観たい気がする)
サイトと父の話からすると、古神道を掲げる宗教団体の経営らしい。
こんな舞台を建てられるのなら、宗教団体も素晴らしい(かも)。
ただし。
本殿は、聖域の赴きはなくはないけれど、神さまの存在感は薄い。 (一応アマテラスだと思う) 映画のセットの雰囲気。
古来から在る神社の持つシンとした怖さは、どうやって育つのだろうとかちょっと思う。
宮司さんというより信者さん?みたいな方に、公演について訊ねる。
芝生に椅子を据えて、客席1000人以上の規模になるらしい。 すごいな。
そしてどうやら、一番よさげなエリアは組織のエラい方々の席らしい?(←勝手な推察です)
んんんん。 一般人が混じって、居場所があるかなぁ。 ちと不安。
次の日はもう一方の「能舞台」を探して、うろうろする。
なんでうろうろって、家を出ようとしたら肝心のちらしがなくなってたからで、
父がネットの地図をプリントアウトせずに、手書きでメモしただけだったからだ。 (結局、ホラね!と、わたしに怒られることになる)
途中、草刈をしているおじさんに尋ねたら、「ナビは?」と訊かれる。
笑笑っ。 父は新車にもナビを積んでいないのだな、これが。
もしかしたらと、「八ヶ岳神社」という場所を教えていただく。
父は住所が違うと首をひねるが、能舞台があるのなら見たいとネダる。
雨ざらしでばりばりの床板。 正面に立つと、圧倒的に狛犬が邪魔。
どうみても、公演できる状態に見えない。
もったいないなぁ。
地元の素人な人たちの奉納舞いみたいのなら、出来そうだよ。
村祭りみたいな雰囲気で、やらないのかなぁ。 やってるのかなぁ。
いや、小劇場の演劇でもいいんだけれど。 シェークスピアでも。
(集客や交通を考えると、なかなか困難か)
わたしがあれこれと能舞台を覗き込んでいる間、父は隣の郵便局に話を訊きにいく。
おーい、やっぱりここじゃ、そんな公演の予定はないってよ。
しかし、狭い地域に、こうも能舞台が密にあるって、どういう文化レベルなんだ、山梨県。
さて、次にどうしたか。 図書館に行きました。
うん。 ちらしをゲット。
ついでに司書さんに地図を見せながら場所を訊ねる。
そうしてたどり着いた場所に、能舞台らしき建物なんて、ない。
広々とした畑と人影のない昼下がりの住宅。
ちらしの地図を睨むわたしを置いて、
父はさっさと車を降りて、どこかに消える。 ご近所さんに訊きに行った模様。
観世さんのご自宅じゃないかってさ。
はぁ?
ご自宅なら稽古場があるだろうし、そこ?
そのご自宅を辿ると、確かに住所が合っていて、表札は主催者のお名前でした。
つまり、
「八ヶ岳能楽堂」って、ここか?
どうみても、品ある平屋建ての普通のおうちだが。
窓が開いてるけど、どうする? 室内を見せていただくか?
いやいや、ご自宅じゃあ、通りすがりがお邪魔していいものでもないでしょう。
帰り道、なんかその手作り感にわくわくしてくる。
お能のアトリエ公演かぁ。
というわけで、東京に帰ってきて、サイトからチケット手配をしたのは
観世さんのご自宅の公演の方。
のうのう能『巴』。 1泊の予定でいくつもり。