2009.11.28. 19・00〜 中野ザ・ポケッツ /演劇実験室∴紅王国
野中友博 大復活!!と太鼓を叩けばいいのか、
師匠が2年かけてテキストを書き、半年かけて立体にした作品に対して、礼をつくして沈黙すべきなのか、
よくわからない。
何よりも(この1か月、『エンバース』とか『リア』とかいろんな作品を観てずっと危惧しているのだが)、この作品をこの公演数だけで終わらせてしまう日本の演劇界は、……どこかを直さなくてはいけないのでは?とか、考えてしまうし。
こんなにスゴイ役者さんたちがぞろぞろいらしてて、あんまり他で仕事をされていない日本の演劇界は、……(以下、同文)。
野中さんが書くまで2年、他の芝居には出なかった、ナンテ役者さんもいます。 舞台に立つその方を今日はじめて拝見しましたが、すごかったぁ。 かっこよかったぁ。 ふだんは物静かな方なのに。
役者さん、みんなチャーミングでした。
その中でも阿野さんと犬塚さんは特にクールで。 どんどんテンションがあがって大声になっていく役者さんたちの中で、時にはすっと、ぼそぼそっと台詞を流して。 すると舞台と客席がふいっと我に返る、んだよ。 くぅぅ。
客席でときどき、すすり泣きが起きるけれど、何故泣けてしまうのか。 たぶん本人たちにも説明はできないのではないかと思う。 そういうふうに、作ってある。
でも作品に共振して、感情が溢れてきて、みんな泣いてしまうのだと思う。
答えは簡単には出ないから、死ぬまでこのコトを考え続けてくれと、そんなふうに作ってある。
殺人者を追う警察もまた、犯人を死刑台に送る殺人者の側面を持つことを意識しているか、という問い。
現世と幻がオーバーラップしているように、殺人者は他人と同じでない価値観の中で孤独に彷徨っているのだけれど、それを同じひとつの価値観の中で裁いてもいいのか、という問い。
それはね、あくまでも真実の側面というか、傍流というか。
でもそれを無視したとき、社会は間違った方向に流れないか、という。
……と、わたしは読んでるんですが。