木曜日のコトなんだけどね。
劇場と駅の中間にある交差点で、信号を待ちながら劇場はどちらですか?と道を訊かれた。
ペットボトルを覗かせた荷物を持ったおばさん。
あちらですよと指差す。
30秒ほど迷ってから、'半'からの舞台をご覧になるんですか?と訪ねる。
時刻は25分か6かその辺。
「いいえ、劇場の地下の○○に。 地下鉄が止まって知らない駅で降ろされちゃったから、方向がわからなくて」
だったらいいンです。 もしかしたら、その荷物を持って一緒に走らなきゃダメかなと思っただけで。
少し前の時刻に、地下鉄が一挙に3線、止まった。
あの劇場は、そーいう事件には無頓着に定刻どーり開演するよなぁ。
わたしは渋谷駅で5秒で決心して飛び降り、ぐるりと遠回りのJR山手線に乗り換えた。
時間は超ぎりぎり。 だから列車の最後尾から、各駅に着くたびに1両ずつ車両乗り移りを繰り返し、前方に移動。 長いホームを歩く時間もけずる。 ふぅーっふぅーっ。
信号が変わった。
「じゃ。 がんばって急いで」と送り出された。
あ。 はい……。
仕方ないじゃん。 これ以上、走るつもりはなかったんだけれど、送り出されちゃったんだもの。
しばし小走り。 すぐに息が上がって早足に。 はぁはぁはぁはぁ〜。
たぶん同じ理由でぎりぎりの女の子たちが次々と走ってわたしを追い抜いていくので、あのおばさんに嘘つき呼ばわりはされないで済みそうだな。
もぎりでわけわかんなくゴネる客がいて手間取るし、
チケットは2階席なのでアルフレートのアナウンスを聞きながら階段を駆け上がんなきゃいけないし。
一番前の中央付近の席に滑り込む。 間に合ったけれど。
大汗が止まらない〜。 拭いても、拭いても、拭いても。
ううっ。 せっかくの化粧が全部、流れたな。
周りには似たように息切らしている女子が何人もいる。
はあ〜。 大変だったぁ。
この日、隣の席のバカップル。
ブスい女の思い違いは醜悪だなと思う。 自戒、自戒。