あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

「新・雨月物語」を観た

                2008/1/26 14・00〜 SePT  /THE ガジラ

当日券で観たのに、センターブロックの前から5列目。
きゃー。 そこだけぽつんと残っていたのよ。 ごめんなさい。

前5列分くらいの客席を潰した張り出しの素舞台。 深い奥行き。 舞台手前、布のかかった膳(であることは、後にわかる)にスポットが落ち。 蝉の声。
劇場に足を踏み入れ、迎えられたそれだけの空間から、時空が飛び、
戦国時代からハズレた山深い幽玄の世界に引きずり込まれる。

さりげなく凝った衣装・小道具と、計算された照明と、
空間を支配できる肉体たち……で。

やっぱりねえ、鐘下サンの空間や音のデザインがかっこいい。 わくわくする!
そしていろいろな象徴的な構成に ぞくぞく!する。
舞台中央を正円に切り取り陶工の窯をイメージさせておいて、
終盤、登場人物たちが次々とその中に消えていく。
キズつき残された男は、その血肉を吸った土で以後、器を作り続ける業を背負わされるってわけだ。

時折、がなる台詞が聞き取りづらい。
それより静かに 単語・空白・続く文章 みたく息を吐いたほうが美しいのでは?
などと思いながら、観ている。
(それは祐くんの台詞の呼吸、か?)
言葉がぽつりと劇場空間に取り残されて、溶けていくあの感じ。
そしたらパーフェクトにわたし好みな演劇空間になるわけか。

役者さんたちの存在感が、大昔の日本映画の時代劇の匂いでナンカ説得力があった。
イトオシイ。
死体から鎧とかを剥ぐ動作が、普通なんだけれど妙に怖かったり。
ちょっと猫背な百姓の立ち姿とか。
かと思えば、侍の無駄なく美しい所作とか。 

 ふ は あ ……

大きく息をひとつ吐いて、劇場を出る。 幸せだった。