夕べはお酒を飲みながら、
書いた劇を自分で舞台に立ち上げるために必要なアレコレを、師匠とshinoくんにきいた。
ぼんやりとした大枠なことだけだが。 それでも、思ってる以上に大変そうだ。
そうか。
当面の目標は、
400万の赤字を出しても悔いのない戯曲を書くことと、
いろんな人たち/スタッフと少しずつ出会って、顔をつなげていくことか。
先は長い、長い……。 気が遠くなる。
shinoくんには、自分が役者を続けていくために何を犠牲にしているか、熱い思いを聞かされまして、それに応える芝居を書けと。 はい……。
かれは今、初ミュージカルの稽古に挑戦中で、それも主役らしい。
台詞から歌へ、気持ちをつなげられない!と真剣に悩んでいる。 ぽんっと気持ちを飛ばすしかないのかなあ。 え? 気持ちを高めて高めて、それが歌につながるんじゃないの? できないんだって、それが!
昔、誰かから、方法論を聞いた気がするのだけれど。 全然、思い出せない。 役立たずだ、わたし。
そんなこんなの、次の日なので。
公演の作品以外の、いつもと違う、あんなこんなで、変な感動をする。
当日券があるかと電話して、転送されて「ご用意しておきますからお名前を」と、つながった先、もしかしたら構成・演出の松本さん本人の声だったような。
いやあ、客席ではそのご本人が、客入れを細かく指示しているし。 作品も丁寧だけれど、作品以外でもこんなに丁寧なんだなぁ。
お客様、年齢層が高い。 いいなぁ。 客席、埋まってるなあ。
セット、照明、小道具。 無駄がなく、きちんとしていて、美しい。 いくらなんだ、このレベルで。
………………。
2007/3/11 15・00〜 ザ・スズナリ by MODE
おお、あの小説をもとに、こうくるかぁ と、わくわくする舞台。
思っていたよりも、原作に忠実に進行するのだった。 音楽と身体表現とをうまく取り入れて。
グレゴールはね、パジャマを着た人のままなのよ。
なのに周囲の反応と、本人の動作で、蟲になっていく。 演劇の妙っていうんでしょうか。
人の姿のまま、どんどん卑屈になり、人間としての尊厳を失っていき、家族から邪険に扱われ。
……泣けた。 不条理な仕打ちを、ただ受け入れ死んでいくだけの、やさしい弱さ。
そして、
ずっと不思議だった、なぜこの劇団が、好みなのに好きになれないのか、
その理由が判明。
組まれる言葉が、美しくないのだ。
ここの作風として、台本がない。
原作をもとにエチュードを重ねて、空間という作品をつくっていくわけだから、
台詞は無神経にも、原作の不自然で古臭いそのままか、役者の思いつきや、やりとりから出てきたものを、使っているようなのだけれど、
役者には、アドリブはできても、台詞が書けないんだ。
コントじみたおもしろさはできても、詩情や哲学は香りたってこない。
それが、洗練された舞台の雰囲気と、どうもちくはぐであるらしいのだ。
えらそうに。
チェックしながら、台詞を聞いていたのだ、わたし。
そこ、言葉を入れ替え。
そこ、ああとか、軽くやりとりしてから、内容に入んなきゃ。
そこ、息を吐いてから、しゃべれ。 小説を読み上げてんじゃなくてさあ。
あの、
舞台芸術として、役者さん、スタッフ、とても高い水準で、
ほんとにすばらしいんですよ。
はうううう。
偉そうにコメントする自分、恥を知れ。
恥だと思いながらも、チェックせずにはいられない、かわいそうな自分。
…………もうちょっと、がんばんなきゃ。