あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

「アンデルセン・プロジェクト」を観た

                    2006/7/4 19・00〜 SePT 

                    あげんのオススメ度 ☆☆☆☆★

終演後の周囲の声が、「カッコイイな」と「わかんない」。両方とも若い男の声だったことが、ちょっと興味深い。観る側のフトコロの深さを選ぶのかもしれない。近くの席に座っていた、大声で頭の悪そうな演劇専攻の学生は、たぶん「わかんない」派だろうな。

(よけいなお世話だが、「わかんない」などと声が聞えたとき、あんたオンナノコにモテないでしょと思い、ちらと見たら、案の定。苦笑い。感覚的なものをわからないままに受け入れ、愛(め)で、おもしろがれるのが男の度量か?と、最近思う)

「映像の魔術師」と呼ばれるカナダのR・ルパージュ作・演出(・出演)のひとり芝居を、この日は白井晃が出演。観ていて感動した内容をしゃべるとネタ・バレするので書けないのだけれど、美しいイリュージョンの中に現実世界と童話が渾然となって、確かに「カッコイイ」のだ。わたしは何度、息を呑み、くすくすと笑ったか。特にブローニュの森の表現、演劇が好きでよかったなあと思わずにいられない。

白井晃という演出家/役者は、どことなくリリカルで気恥ずかしく、なんとなく避けてきたけれど、とても真摯でいい役者だった。って、2時間の長丁場、手を変え品を変えの、6役ひとり舞台をこなせるってだけで、すごいんだけど。リアルな人物描写(と、その周囲の人間の空気)、無言の詩的な雰囲気、社会への反骨、希望を裏返らせたあきらめ……。脚本もいいが、役者もステキだ。

わたしはずっと、演劇というナマモノと映像というカワキモノをコラボレートすることに違和感があった。(最初に見たのは、小学生の時の宝塚なんだけれど) ここ数年、少しずつ「あ、この表現は生きてる」というものと出会い始め、おもしろくなってきた。自分で書くものにも、使いたい。と思って気づく。このテの発想は、自分が舞台に立って始めて得られるものなんだろうなあ。特にルパージュ・マジックは。

ううっ〜。最近は自分の限界とぶつかってばかりだなぁ。

(追伸/祝 初日)