あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『PIPPIN』

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40年くらい前かな、初演の舞台をTVで観たのかな、そのときのとはエンディングが違うと知り、「おけぴ」でチケットを譲ってもらい、拝見してきましたよ。


初めはWキャストはビバさん縛りでチケット探してましたが、アフタートーク付きに負けたw え。最初のつもりだったら客席に綾ちゃんいたの?と知り、残念。ただ、わたしが観た回も客席がゴージャスでしたが。


そして中尾ミエさんが素晴らしく、すごかった!

御歳73にて、男子とペアで、空中ブランコ的アクロバットエアリアルフープ)を美しくこなしてらした! きゃー♪

世の中全てのパフォーマーは、もう二度と「無理」「出来ない」なんて言えないわね〜




全編、サーカスアクロバットに溢れてまして、幕開きすぐに全員でパフォーマンスなシーンで、

おぉ「うつしおみ」の愛実ちゃん、そのメイク似合うなぁと見上げてたら、その下では大アクロバットが終わってて、

あーもう、目がいっぱい欲しい!なミュージカルの始まりなのでした。



一番、感動したのはね、クリスタルケイちゃんがステキだった!こと。先だってTVの番宣で見かけたときは、正直、いやいやリーディングプレイヤーってのはなぁとかだったのに。

歌は当然だけど、フォッシーダンスはカッコいいし、舞台をピピンをぐいぐいとリードしていく存在感が素晴らしいし、アクロバットもマスターしてる! けど、努力しました感がない!

終幕あたりのデモーニッシュ感も、ちゃんと怖い! 新しいタイプのミュージカルスターかもしれないですね。


そして、しろたゆーくんは、ピピンにはかっこ良すぎかなと思ってましたが、自然な存在でした。

わたしね、今みたいな好青年方向でなく、かれがハラの中に人間の闇をもっと宿したら、すごいピピンになりそうな予感があるの。でもファンは嫌がりそうかなぁ。



翻訳が素晴らしく生きた日本語で、でもサイト見てもお名まえわかりませんでした。パンフ買えばよかったのかな。


今井さんや宮澤さんがつくりだそうとしてるドライで自然なリズムが、いままでの日本のミュージカルにはない新しさな気がしました。日本語だとわざとらしくなりがちなのに、気持ちよく大笑いできたのですよ。

誰かこの辺、解説して!




さて。以下はストーリーに関する感想なので、ネタバレです。

わたしが引っかかったのは、一幕ラストと二幕ラストでした。(あとは申し分なし〜)




一幕ラスト、えー、その手でパパ殺したんだよ? 明るく拍手喝采の裏側にある迷いや怖さは、なし?


二幕ラスト、えー、ピピンは敗者なの? 家族を選ぶことに輝かしさはないって解釈? スポットライトを浴びる代償としての残酷を、次の世代に押し付けるの?

時代はそこまで、生贄を求めるの?


と、感じました。もっと他のことを感じなきゃいけなかったんだろうな。わたしは、はい、初演の感覚を引きずって観てたんだと思います。




初演の演出は、確か、

服を剥ぎ取られて、ほぼベージュタイツの三人が、背後の白っぽいカーテン以外は何もない舞台で、細々と、やがて朗々と歌い、

明かりが戻り、みんなが戻ってきて、世界が再構築される。みたいな。


ピピンが選んだ生き方に、希望と共感があったと思うの。

今の世の中は、違うものを望んでいるってことなのかしら。



先日、『キネマと恋人』観たときも感じたけど、新しい総合芸術としてのパフォーミングアーツが当たり前になってきてますね。

ということを知る日本人が、実はあまりいないかも?という感触なのですが、どう思う?