拝見したのは木曜日ソワレです。
もしかしたらこの日、史上最高の『レベッカ』を観たかもしれません。この作品が、こんな風合いに育つと、誰が思っていたかしら。
大がかりな装置もなく、ミュージカルにしては人数も多くはない。けれど、ここまでの大カタルシスを持つミュージカルに育ったことが、とてもうれしいのでした。
あのね。わたしはわがままなので。なんで演出家さんはこれでよしとされてるのかなぁと感じる箇所は、まだね、いくつか残るのですが、
それを飛び越えて、心動かされる舞台になってたと思うのです。
主だったキャストのみなさんが、バケるっていうのかしら。力強い、とてもつきぬけた芝居になってらして。
何よりも、特に圭吾さんかなぁ。すっごく楽しそうに舞台に存在してらして、ほかの役者さんたちを信頼して、全力で火花を散らす自分として、いる。そして、その中心に、ちひろちゃんが演じる「わたし」がいました。
ファベルやダンヴァース(知寿さん)や、ベアトリスが。自分の人生の中では自分が主人公だから!という存在感で。
今まで見えなかった奥行きが、ぐわぁと広がった感じがしたのですよ。
知寿さんのダンヴァースの解釈は。とても自然で濃厚で。荒れ狂う内面を秘め、レベッカに恋をしていて、強い信念に縛られ、だからファベルはライバルで。後半のセリフがすとんすとんと、シンプルな強さをもってくる!
ファベルがサロンのシーンのはじめに、さぁこれから一世一代の賭けに出るぜぃみたいな、一瞬の呼吸を、するのがね! ファベル、一生懸命でかわいいなぁとか思ってしまう。
ベアトリスが、貫禄というのかしら。マキシムのおねえちゃんなんだなぁと、それなりの距離で過ごしてきた家族としての距離が、見えてきたと感じたの!
そしてマキシムは、今までになく。終幕にかけて、レベッカという悪夢を乗り越えて、はっきりと訣別したのね~と感じられた! 「わたし」との出会いと、内面の告白と、そのあとの忍耐?を通して、魂が救済されたんだね。人生を負荷も含めて、自分を受け入れられるようになったんだね、とかね。
ところで。
e+の貸し切り恒例の舞台あいさつで、マキシムくんがみんなに呼びかけて楽しくご唱和する所作、『TdV』の伯爵さまのときもやるのかしら?