関係ない他人のことで、なぜ自分がこんなにキズついているのかわからない。帰りの電車で目を開けたら、涙ぐんでいることに気が付いた。
以前大好きだった大道芸人のショーを久しぶりに見た。客にダメにされていく様子を見てられなくて、ズット遠ざかっていた。ご本人はほんとうにこれでいいと思ってるのかな。思っていた以上にありきたりのツマラナイ踊りだった。(雨だったから、インプロだったから、ショートバージョンだったからではなく、何も語らない閉じられた肉体と化していたよということです)
SNSではそのショーを見た人たちが、よかった!かっこよかった!と喜んでいる。はあ、そうですか。そんならそれでいいのかもね。
ショーの直後。離れた場所で、わたしの泣きたい気持ちを説明したら、ああなんとなくわかりますよと受け止めてくれた友人がいた。
それでよしとすればいいか。
たぶん一晩寝れば、わたしはこの哀しみくらい忘れる。
フォトジェニックなダンサーさんなので、アマチュアカメラ男子のファンが大勢つきまとっている。パフォーマーの心は危うい。期待に応えてしまう。
写真うつりを意識したポーズにしか意識がいかなくなった。昔からの技術で、なんとなくそれっぽい、奔放で自由な振りはできる。でも本物のかの女は消えた。踊る心が後方に押しやられ鎧に覆われた。観ているほかの客の目を、心を、感じることを忘れ、空気を温められなくなった。
と思う。
カメラ男子たち。レンズを置いて、ナマのかの女にナマな反応できないかしらね。それが大道芸なんだよ!
ご本人もじじぃたちを、シャッター切るのを忘れさせるくらいに自分の世界に跪かせてしまいなさいよ! そのくらいできるでしょ?
と思うんだよ。
もうひとつ。気になったこと。馴染みのファンの方たちだと思うんだけれど。
やさしい大道芸人が気安くお返事してくれるからって、親戚のおじさんみたいな態度やコメントはいかがなんでしょうね。
あなたたちにできないことができる人に対する尊敬をせめて持ち、態度にしましょうよ。礼儀です。