「明日ヒマなんです。どっか行きませんか」 いいよ~ ってなことで。
で、どこに行く?
作業中でばたばたの中、ここどうですか?に、アラすてき。行きたかったのよぉとか返事したけど、それは別の展示会だったと、あとから気づく。
でも、ご縁だな。こっちに行けてよかった。発見がいっぱいあって感謝感謝なのだった。
見始めてすぐに思ったのは、まったくベルギーの歴史を知らない自分だった。どんな政治背景でこの奇天烈な絵画たちが生まれたのか、見当もつかない。
発想が自由で、道徳や規則に囚われない。
ようでいて、妙な内部ルール(注文?)はある。
変質的なまで描きこまれている。(どんだけ細い筆だ?)
コミカルでパワフル。ショーマンシップが根付いている。
つまり、観る人との対話や、生活に根付くことを意識した絵画だ、と思われ。
ということは、
抑圧が続く歴史だったということなのか???
(興味ある人は自分で調べてください。さっきウィキペディアの「ベルギー」を読んだけど、わけがわからん。お手上げです。連邦政府の中に王室あるってどんなん?)
そして、
抑圧をこっそりと跳ね返す、人々がみんなで笑って生き抜くための、喜びとしての、内向的な反体制、芸能の神髄、みたいな心意気にまで、想いは飛んだ。
パフォーマンスの原点を、今さら、改めて、心に刻まれる。
時代にそった流れで絵画を観る楽しみは、あ、シャガールの影響が入った? あ、写真が誕生しなければこの表現はなかったよね、あ、映画に、たぶんフェリーニに、影響された?(と、そのときは思ったけれど、逆の可能性もあるのか)
と、歴史を見透かせることもある。
あとね。油断してたわ!というか、
大友克洋はなんとなく知ってたけど、ティムバートンやジブリやジャンセンのイメージのおおもとは、ここでしたかぁ!という幻想絵がたくさんありました。
そうだったのね! もっと早く出会っていなければいけなかったかも、だわ。
ところで。
わたしは版画の説明文について、監視のおねえさんたちに無邪気に質問を重ね。大いに困らせ。
すみません。質問させていただいてもいいですか? エングレービングって何でしょう? 確認します。少々お待ちください。おまたせしました。ビュランという道具で銅板を掘って、その溝にインクをつめて刷る技法だそうです。ありがとうございます。
(へえ。ビュランって彫刻刀的なイメージしかなかったけど、こんな繊細な技法だったのね)
すみません。質問させていただいてもいいですか? この絵は石版画に見えるんですけれど、多色刷銅版画ってどういう技法ですか? 確認します。少々お待ちください。おまたせしました。申し訳ございません。所有する美術館の説明文がそうなっているということで、それ以上は。あら、じゃあ、こういうデリケートなぼかしが銅版画でもできるってことなんですか? いや、ちょっと、あの、そこまでは。あー、いえいえ、妙な質問をいたしまして。申し訳ございませんでした。本当に。いえいえ。とか、お互い、しどろもどろ。(笑
(あとから思い出したんだけど、アクアチントって粉状腐食の技法があった)
なんてヤな見物人なことをしてしまったので、三つ目の質問ができなくなってしまったの、わたし。
ぎっちりと描きこまれたファンタジーな大木に、「鉛筆・絵具、紙」と説明されているが、ピントのあわない写真のようにしか見えない絵画。ガラスケースに入れられているので、あまり顔を近づけられない。が、よくよく見ると、はがき大に切り分けられて?いるような線があり、そのボーダーに向かって数ミリずつ絵がかすれているのだった。なにーこれなんなんだ? 誰か説明プリーズ。えーん。
(まさかまさか。レプリカなんてことないわよね?)
そのあと。連れが、好奇心の強い女子だったので、いいよね?とギャラリー巡りもつきあってもらう。
大隅秀雄さんは、八ヶ岳倶楽部で拝見する大好きな夢のようなオブジェを作る方で、この機械が森の中でいかに風となるかを、思わず連れに熱く語ってしまった。(汗
長友由紀さん、友禅の染めの技法で、すごく迫ってくる作品です。黒だけでも三色あって、それはなぜか、キュレーターさんが教えてくれました。
在廊していたのが百瀬玲亜さんで、漆の技法についてとか何を考えて作業しているか(無に近い?)とか、少しお話させていただきました。
若い工芸家たちは今、金沢に集結している傾向があるそうです。大学もあるし、助成もあるし、刺激もあるし、ということで。
プロフをみて思わず、まぁウチのコじゃん。と口走ってしまったのは、今年度からわたし、多摩美の校友会(同窓会)理事を仰せつかったからで。卒業生に対する距離感が少し変わったみたいです。
この方の作品は、以前にも拝見した記憶がある。
表情とネーミングがもうキュートでキュートで、いたずら心と思いやりでアートしてるのがステキすぎる。
そのあと、無印のカフェでコーヒーゼリーを食べた。席のリザーブマークのデザインで「田」の英訳がrice fieldと知り、ちょっと興奮。