あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『王家の紋章』 2回め

さて二幕めになって。

わたしの周辺の客席では、何人もが居住まいを糺したり、祈るように指を組んで息を飲んでいたり、

で、わたしはというと、若い人たちが深く心震わせてるなぁというその感覚に包まれて、囲まれて、それがとてもとても幸せで。

やがて後半の畳みかける疾走感に、わたし自身の気持ちも巻き込まれ、大きな充足感に満たされました。ほぅ。

 

はじまって四分の一くらいは未だ、あーどうしましょここに座ってていいの?どこをどう楽しめばいいのかしら(ごめんなさいね)とか感じてたのに。

この較差はなんなんでしょ。終わりよければ文句言うな!ってことかしら。

理屈とか好みとか、そういうものをガツンと越えてしまう何かってあるのよねえ。

 

そうそう。なんでこんなに理解できない世界観なんだろうと考えていて、これは妹視座の価値観だからか?と今回、思いつきましたよw だから長女にはイラッとくるのか?

アイシスさまのブラコンも基本、妹の視座です。断言。

 

 

さて。なんで二回目?って、Wキャストを両方を観るためです。観劇日の間が二週間空いていますので、切磋琢磨しあってるであろうキャスト同士を比べるのは、意味がないと思ってます。きっと一緒に進化成長し、同じ密度の芝居を、日々展開しているのだろうなと思います。

 

それでね。今回、終幕にかけて圧倒的にわたしをストーリーに巻き込んでいったのは、キャロ江ちゃんでした。

Wキャストの相方が絶対歌唱力の聖子さんというのは、比べられたりとずいぶんキツいことなのではと思います。うん。技術的にできてないこと多いしね。でもね、それは逆に、できる範囲のぎりぎりを毎回全力で勝負しているということで、その説得力たるや。想いの変化や決心がぐいぐいとこっちに迫ってきて、気持ちが一緒に引きずられて、とても素晴らしかったのでした。

この方、怒ってブンむくれた表情が魅力的だわね。他に類のないタイプのミュージカルヒロインの誕生かもしれないわ。

ただ、聖子さんと作り上げた?キャロルのブリッコ風な部分は、圧倒的に似合わない(たぶんキャロルがわたしの趣味ではないのです)と思う。もうちょっと違う角度から責められないかしら~ きんきん声できゃらきゃらしてるのがキャロルらしさなの?

 

  

 

宮野さんのイズミル(初演から四回目で初めて観られました)は、男子のタイプ(趣向)として、けんちゃんとの差別化があって楽しいわ。この方はメリハリのあるとてもわかりやすい感情表現で、こういう2.5次元ミュージカルに似合う演技ってこれなのかな?とか感じました。

イズミルのお衣裳やウィッグだと隠れてるけど、もしかしてこの方も今どき風の猫背?とか。ほかの舞台を観てみないとわからないわね。

 

 

彼方さんの熱心で緻密な役作りにも感動しました。他の演者とのからみなし、セットなしという過酷wの中で、たぶんご自身の脳内で周囲の状況や配置を計算して、描いて、実感しながら、百二十パーセントの演技をしてらっしゃるのかな?とか。それを帝劇空間でやってるんですもの。そのパワーに圧倒されましたよ。

 

 

で、気づいたんだけれど。アイシスさまも実は案外、他とのからみが少ない?

メンフィスと階段で対決、そのあと絶望するシーンは素晴らしかった!けれど、他のシーンが、この先どうやってひとりで深めていこうかと迷っていらっしゃる?という気がしたのでした。(どうなんでしょう)

もしそうなら、ヒントは彼方さん方式なのかも???

 

 

もひとり、他とからみの少ないイムホテップさま。モノローグすらない。

ラストのお歌は、あー主人公たちのお着換えタイムの尺あわせなのねぇ。とかw

いや。
おおらかに、たゆたうように、張り上げることなく静かに、のびやかに、フォークロアに。解決が回収されていないタイムスリップネタが、なんとなく納得できちゃうような、人生観みたいな、結論みたいななにかが醸せたらおもしろいかもな~とか、思ったよん。新しい歌い方の開発をしてみたら、みたいな?

 

 

えっと。最後に。

けんちゃんは、この公演は勝負どころだィとめちゃくちゃ気張り続けていて。マジそうだし、これは本人に少しリラックスしたらとかいうべきところではなく、走り抜け!なので。ほんとうに、頑張れ!なので。

周りの方たち。特に女子かな? 裏ではやさしく甘やかしてあげて~ よろしく~