先日。こんな解釈もできるなあとかブログに書いたけど、
「ね、無理」 あーはいはい。
で終わってしまった。ちゃんちゃん♪
マチルデさんが美人さんである設定では、計画的誤読はむずかしい。
日本人の情をベースに解釈を思いついても、テキストに戻ると、キリスト教に裏打ちされた契約思想と個人主義に基づく台詞に、
あと、ミステリーの流れを優先させるために、
なかなか「日本の感性に引き寄せるための隙をつけない」のでした。
ちなみにあさこさまのマチルデは、肌感覚につっと共感してしまった。丸みと絶望とがすてき。
あのね。マチルデさんがもっと生活感のある方だったら、イルくんの打算がもっと前に出てくるのにね。そうしないキャスティングに男子のずるさを考えてしまう。
昨日のクレア。かなめさまは、もしかしたら演出家先生や祐一郎さんや男子全員が気づいていない部分をていねいに構築してる?という気がしました。(山田さんはさすがに気づいてるかw)
それはクレアの内面の揺れとなってちらちらと見えるんだけど、
女だったらみんな、どんなに愛してる相手でも「あーあ」とか「やれやれ」とか「そういうことじゃないんだけどなぁ」って感触持ったことあると思うの。
なのでわたしは、昨日のクレアに深く共感してしまった。まぁ、日本の女子だと「しょうもないなぁ」と流すところを、肉食クレアは流せないわけで。
でもかなめさまは、そのあたりをうまーく表現してらして。
カーテンコールでうふふふっ♡という表情をしてらしたのは、女子全員の秘密の共感の表れだった気がしたりして、楽しくなっちゃったのでした。えへ。
もしかしたらこの作品、裏女子会とかで案外盛り上がるかもなぁ。
そんなとき、ざけんなアルフレッド・イル!となりそうでならない方向に役をつくっちゃったのが祐一郎さんで。
一幕で、群集に追い詰められてるはずなのに深刻になりすぎないでユーモラスなショーにしちゃうとか(これは山田さんテイスト?)、
そもそもあの見てくれで、しがない田舎男とか、人のどうしようもない弱さとかを引き寄せるのはたいへんなのに、
壊しては積み上げ!を繰り返したんだなあと、感じましたよ。ぱちぱちぱち。
悪い癖がところどころ復活してたり、
一幕~二幕前半の歌い方は、後半の歌い方との差別化なんだろうけど、うーん、むずかしいとこだわ、とか。
でもまあ。うんうん。頑張ったね。で、いっのかな~
このミュージカルのすごみのひとつが、
かなめさまと祐一郎さんが離れて座ってるだけなのに、深い想いに周囲が包まれてしまう風景で。おとなの恋だわ。大人のミュージカルだわ。
ミュージカルは、演劇は、こんな「夢」をもっと立ち上げていかなきゃいけないのね、って思ったことでした。
そしてこのミュージカルのもうひとつのテーマは「狂気」かもしれないと感じました。
たとえば戦争に向かっている社会って、こういう狂気に支配されるんだろうなあ。戦争だけじゃない。原発や行き詰った資本主義や、純血主義やその他いろいろ。
自分を守るために、自分を表現するために、狂うしかない。
クラウスがレーナから受け取った白い花を、追い詰められて手放し、アルフレッドに渡す流れは、意味が深いですね。クラウスの行動は「集団の狂気にあらがう」ともとれるし、「いい人であろうとする狂気」とも取れるし。
その中で、正気であるアルフレッドが狂気に見えるっていうシーンは、20世紀のテイストだわ。
現代が意味する狂気は、もう少しフクザツな気がして。
でも集団の狂気・狂乱が、観客のカタルシスを呼んだら、とんでもない舞台になるなあ。とね。そのためにもう一匙必要なのは、、、、
演じる側の狂気なのかしら???
全体に。去年のとっちらかり感が整理されて、シーンがクリアでユーモラスになりましたね。
そうそう今さらですが、照明がステキ!なのでした!! 男子の四重唱の、内面を裏打ちする美しさにくらくら!