あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『エドウィン・ドルードの謎』

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新作ミュージカルのプレビュー公演を、二回見ました。誰もが思いつきそうで、でも絶対に絶対に無理っしょ!とあきらめるであろう設定。観客の投票でその日の舞台の結末が変わりますよ。結末は288通りあります!というのが売りのミュージカルです。

なんだけどね。288=6×6×8かなと思って観に行ったら実際はね、選択肢は3回なんだけれど、5×7×7×6=1470?で、小ネタはみなさん、都度違うことを口走ってらっしゃるみたいだし、まあつまり、同じ舞台は二度とない!という非常にフレッシュミックスジュースなつくりになってました!

 

せっかくお稽古はしたのに、その日は見られない(披露できない)歌と芝居がたくさんあるってことですね。

 

原作はディケンズの未完の遺作だそうです。ほんと、うまいところに目をつけたなあ。

おふざけだけでなくて、ちょっと古典な風合いがいい感じなのです。

 

写真は入口で渡される投票用紙です。2幕の途中で、楽しく、破片を回収されます。

わたし、1回目は知寿さんに入れたら当選で「まじか?」と超うれしかったし、2回目はコングさんに入れて、おっ善戦した数字じゃん(投票集計は舞台上で公表されます)と、それも楽しい~!

カード8枚じゃんとお思いでしょうが、この直前に5人からひとりを選ぶダーツがあって(ボールを投げるのは客あげされた方です)、残りの7人から投票で選んで、

最後に客席の拍手と役者のじゃんけんで2人を選びだすイベントがあるのですよ。

 

 

4回あったプレビューの2回目と4回目を拝見しました。

いやあ、笑った笑った。涙で舞台がかすむほど、手をたたいて笑いっぱなしです。ものすごくデリケートな間の積み重ねとリズムが、大劇場の空気でもつくれるんだなあ。

 

2回目のときはまだちょっと、前のめりに笑いを取りに行くのに遠慮があるのかな、向こうの壁に指先が届いていない感(わかる?)があるなあ。とか感じたのですが、

ん。この予算と時間で、ここまで作ったってスゴイ!と思いつつも、手放しに誉めない自分ってつくづくめんどくさいなと恥じながら、

4回目のを見たときは、その間に演出家さんが丁寧な細かいチェックをいれてらして(たぶんね。後半たっぷりと演じられるシーンが増えてたから!)、役者さんたちもがんがん笑いに振り切れてきてて、

笑いだけでなく客席の感情も掻きたてられてたし、客席の投票という形をとりながら、実は手のひらの上を気持ちよく転がされてる感が楽しくて楽しくて、

流石。

 

歌の世界観も、お客の前で練られてこそ風景が立ち上がっていくんだなと思ったし、

最初から魅せられたのは平野さんの「月のしずく」で、女声にここまでくらくらするのは初めてかもしれません。美しい魅力的な声~

 

あと、すっげー!とびっくりしたのは、オケが6人だったことですよ。ええー!?

音色の多彩に、オケエリアが見えてなかった最初は打ち込みを使ってるのかな? だとしたら指揮者の役割がおかしくなるよね、どうしてるのかなとか考えて、ゆうべの席(2階の最後部センター♡)から最後、確認できたら、

キーボード(今どきはどんな楽器の音でも出せます)が3台と、ベースと金管とパーカッションがおひとりずつ。

今どきはこれで「オケの音」が出せちゃうんだ~!! 今後のミューはどうなんだ?

 

ってかヒットして再演が決まれば、

アンサンブルもオケも、もう少し人数を増やしてもらえるよね、きっと。と思い、

そのためにも。
興味があったら、チケット買ってね。東宝ナビに少々、おけぴサイトでもう少し、チケットが入手できますからね! と言いたい!

わたし? あと4回みます。うふふふ。

 

プレビュー公演が終了し、これから始まる本公演ではどんな熟成に向かっていくのか、本当に楽しみなのです。

 

 

 

にしても、こういうプレビュー公演を、世田谷の劇場でなんでできないかなあ。舞台の文化を作るってこのテの積み重ねでしょう?(内情に気づきつつ、あえて書いてみるww)

 

 

ところで最初のシーンで、壮さんがどの劇団をおちょくってパロっているかはネタになっているけど、今さんのほうは――あははは! 笑える人は恐れを知らないミュージカル通だな~! 大笑いだぃ!(みんな笑ってない?けど)

笑いのネタがけっこう内輪っぽいのに、知らなくても全部楽しめる空気って、そこが不思議です。

 

 

えーとえーと、あとね。支配人の疲労骨折が一番怖いので、年寄りの冷や水はほどほどにと言っても完全に無駄なんだけれど、

気をつけてくださいませ。

 

祐一郎さんへの逆差別について書こうかと思ったけど、ま、いっか。

かわりにファン向けのトリビアを、途中のあのシーンに差し込む風に。
「おれの二作目は台詞なしの立ちんぼの兵士だったし」(手元に資料がないので裏付けを書けません)