あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『ウォー・ホース』

夕方の渋谷ヒカリエ。オレンジ色の雲を背景に富士山のシルエット。
思いのほかデカく見えたんだよね。妙だな。なんでなんだろう???
 
 
 
話題の舞台、見ましたよ〜
馬のパペットの素晴らしさがずいぶんとウリですが、実際に見てみたらそれ以上に。
この「ストーリー(テーマ)」を伝えたいんだ!という思いの強さがぐんぐんと迫ってきて、
むしろそっちに感動しました。
 
このおはなしを、演劇空間を使ってナマっぽく子どもたちに伝えたい!
だから、馬のパペットを開発デザインしたんだ!!
とさえ、感じます。
 
 
あ。
スピルバーグの映画での一番の見せ場となる有刺鉄線のシーン。
映画ではリリカルで美しかったのに、
元となった舞台ではコミックな笑いどころとして処理してたのがチョット意外。
 
わたしは映画を先に見ちゃってたので、(来日公演があるなんて思わなかったもの)
ベネちゃんが演じた役の方には、ち が う〜!!と内心、めっちゃダメ出してましたwww
その役をベネちゃんが演ると、(スピルバーグが処理すると?)
少年が無条件でおとなを信頼する瞬間みたいなニュアンスがあった気がすんだよなあ。
 
 
軍馬が時代遅れと実感する戦争を背景に、時代に翻弄される馬と少年のおはなしは、
馬を愛する人の情熱や国を超えた友情を通して、
敵も味方も全く同じ価値観を持ってるのにね、と語っています。
 
 
 
内容はね。少年少女小説なんです。にもかかわらず、
が、ふたつあってね。
 
 
舞台美術の処理も演出も、わかりやすい一方で、ちょっと抽象的で、
違う場所がオーバーラップしながら同時に存在していたり、
子どもたちのセンスや理解力をとても信用してるなあと思ったこと。
 
日本では、表現における子どもの感性や実際にやれば出来ることに対して、
不信感を感じるのですよね。
これは実は、おとなのほうの自信のなさに由来してるのでは?と思うんだけれど。
 
もっと自由にやらせようよ、
と言う前の、
自発性の芽を幼くしてつんじゃってる気がするのよね。
世話を焼きすぎて。
 
 
 
もうひとつは、
 
台詞がとても説明的で、同じ内容を日本語でしゃべったら陳腐になるのに、(←断定)
英語だと力強くまっすぐ誠実にこちらに届いてくる不思議。
確信をもって語られる台詞。
 
それは、
このテーマを伝えたい!というプロダクション全員の情熱かもしれないし、
英国式の技術の裏打ちかもしれないし、
 
わたしの未熟すぎるヒアリングのせいで、複雑に聞こえてるだけ?なのかもしれない?? 
 
 
 
 
この作品をたくさんの子どもたちに見せるためには、
ほんとうは日本語のプロダクションで出来るとよいよね。
 
が、
 
まず馬の文化に欠けるので、役者やダンサーにとってパペット操作が難解であることと、
この直接的な説明会話を日本語で立ちあげるむずかしさが、
ネックかな〜?と思ったんだよね。
 
それを乗り越える強さをこの作品は持ってるとは思うけど。
 
 
 
こういう作品と出会える子どもと出会えない子どもは、
知的財産の格差ができちゃうよね〜
 
子どもミュージカルとして、安価に、つくれないかな。ふむ。
 
 
 
ちなみに、
わたしは最初の、仔馬のシーンだけで、実はふるふると感動してたの。
 
動物が自然の中にのびのびといる、というシンプルな感動を、
まさか舞台のうえで再現されるなんて思わなかった! すごいよね。
 
 
あと、これはみんなが思うんじゃないかな。
馬の愛らしさは、耳の動きにあるんだね!!!
 
人間は耳が退化しちゃったけど、(塀が完備されたからというより、本心を隠すため?)
馬と同じくらい、はにかんだ、この表現力があったら、
 
恋愛はもっとスムーズになる気がするわぁ。 (大笑
 
 
 
 
 
つけたし
 
ヒカリエの舞台サイズは奥行きがなくて、コンサート以外の何にどう使うんだ?と思っていましたが。
この公演では前方の客席をつぶして舞台を張り出すことで奥行きを作ってました。
 
というわけで、前方カミシモに高いやぐらを組んで、照明さんをのぼらせて配置。
(ちゃんと、はしごをのぼるとき、配置場所のそれぞれで、カラビナ使用してました)
 
 
 
あとね。わたしの席は前から7列目のドセンターでした。
もっと前も選べたのだけれど、字幕と舞台全体を見るためには、このあたりが手の打ちどころかと。
馬を演じる方たちの呼吸を、近くで観たい気持ちもあって、これだけは残念。
 
で。いろんな意味で、この舞台を遠くの席から見るとどんななのかは、未知。
 
前方は照明効果がキツかったな。けっこう眩しいシーンが多い。 
 
 
 
 
もうひとつ、大切なつけたし。
 
銃剣を構えたふたりの兵士が、逆光で真正面から、目の前に走ってきたら、
表情が見えないまま銃剣をつき出されたら、
 
わたし、反射的にこの人たち殺そうとするのかも、と思いました。
 
 
状況って、怖いわね。
だから。状況をつくってはイケナイのだわ。