あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『テンベスト』

ご縁があって、拝見させていただきました。
白井晃さん演出の『テンペスト』です。趣向がメチャおもしろかった!
 
最初の10分間。
一本のロウソク以外何もないだだっ広い劇場に、
嵐を起こし、
その中でもみくちゃにされる船を描くまでが、ほんとうに、もうね。スゴイ。
(ただし。このシーンで台詞が意味をなさないので、ちょっとヤな予感は、しますw)
 
そしてエアリエル(空気の妖精)の描き方が、
最初にシルエットで出てきたとき、え? まさか? ええっ? そうなの?
うぎゃーっ! そうきましたかぁっ!! 
って、発想です。泣く。
幕切れでかれが解放されるシーンが、それまでの芝居の積み重ねの結果なんだけれど、
最高に美しくて、せつなくて、カッコいい。
 
 
全体にストーリーをすっきりと見せていて、
おや、こんなにおもしろい設定だったんだと発見させてもらいました。
演出家がテキストをきちんと読み込んでいるって、こーいうことなんだね。
なんか今までは、ごちゃごちゃしただけの失敗作(ごめんね、シェークスピア!)な印象でしたので。
 
そうか。これはサービス精神旺盛な下世話な喜劇として解釈しないと、
おかしなことになるのか?
 
シェークスピア喜劇のからだをつくるって、むずかしいのね。と思いながらみていましたが。
んんん。
役者が、自分は大真面目におどけたフール(道化)であると自覚し、楽しんでるかどうかの違いが、
シーンの説得力につながるのかな、とも感じました。
(劇場空間の大きさもあって?)保守的な演技だとシーンがつまらなくなる。
 
つまり。ドラマとしては、迫ってこなかったってことなんです。
婚礼の祝祭にひきこまれて、うっとり――と、できない。なんか気持ちの歯止めがかかっている感。
はじけて、ない。(はじけている役者さんたちは大勢いるんだが)
観客の気持ちが、自分の人生から解放されない。(役者のほうが解放されていないから???)
 
せっかくの素晴らしい演出なのに。ちょっともったいなく思ったのでした。
(や。あのタイプの役者たちをここまで持ってきたのを褒めてほしい、とか、演出家はおっしゃるのだろうか???)
 
 
松岡和子さんの訳は、自然に美しいです。
それでも、ときどき、日本語として説明的になり。
彼方くんの台詞なんて実にむずかしい(日常、こんな台詞は絶対にはかない!)のに、
誠実に、よくぞコナシてたなあ。そっか。誠実であるって、大切かも。
 
 
 

役者のからだや声や想いよりも、演出・道具・映像を魅せる舞台なのかな。
新国立劇場(中)で観ることに、大きな意味があります。
劇場を使いきってる! これは気持ちよかった!!
 
というわけで、コチラ
↓↓
http://www.nntt.jac.go.jp/play/tempest/
 
 
 
 
ってか、ね。
先日自分が書いたミュージカル(公演未定・・・・・・)と、道具の使い方がかぶっていて、チョットあせる。
真似したんじゃないからねっ。ときどきある発想ってことだかんねっ。
(もしもお披露目できたときの言い訳)
 
( ̄▽ ̄)