あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『ダデイ・ロング・レッグズ』

再々演にしてようやく観られました。『あしながおじさん』のふたりミュージカル。
うふふふ。ステキでした。ずぅっっっと、にまにましながら観てました。
大好きなジルーシャ・アボットの世界!
うんうんうん。そうそうそう!
 
このミュージカルのおもしろいところは、
手紙が届けられる先の世界が、平行してちゃんと描かれることでして。
だから。
原作を読んでた(繰り返し読んだので進行形w)子どもの頃は
保護者として心配してもらってダメだと言われたんだと思っていたことが、
実はオトコの焼きモチだったんかぃ!!って知り、
 
ショックを通り越して大爆笑。よしおさんの芝居もあって、ジャーヴィスかわゆし。
 
 
観劇後、ロビーにて今井麻緒子さんの新訳の原作本を購入。一晩で読破♪
 
読み返すのは小学生以来なのかなあ。
そして、わたしという人格形成にスゴイ影響を与えていたことに、気づきました。
これも大笑い。
まるで、自分の書いた手紙を読み返しているようなくすぐったさです。
 
自分の感性に正直であること。ときには意地を張っても。
明るい笑顔な自分を心がけること。
とかね、とかね、いろいろとね。
そしていつか、
そんなわたしをちゃんと受け入れられる男性と出会えるはずだから(?)。
 
を、キッチリと、植えつけられてるよっ!!
 
 
このブログを書く前に原作本を読み終えたのは、
ミュージカルでは、
卒業式のあたりからのタッチが「ジルーシャらしくない」ように感じられたからで、
それはたぶん、当時と今(100年の隔たり)の恋愛観の差を補填しようとしてだと思うのだけれど。
 
舞台の最後のオリジナルなシーンは、『ピグマリオン』のヒギンズを思い出させたりして、
かあいかったけれど。

 
まあ、読み直してみて。
原作通りのあっさりした展開、好きだけれど、まんまではミュージカルにならないか、と。
お互いに、相手に甘えているからこそ意地を張ってるって空気が出れば、
わたしはもう少し気が済んだのかな、とか。
 
おおらかで、お天気な、甘さがね。たぶんロマンス。
 
まあ。いまだ、妄想中でございます。
音楽も、自分ならこんな構成にするのにとか、はい、妄想ふくらむwww
日々勉強。
でも、このスコアをこなせるスキルのある方は、そうそういないよな、とも。
 
 
 
このミュージカルはとにかく、
坂本さんのまっすぐな声と、よしおさんのドラマティックな声が絡み合ったところで、
客席は昇天。
 
  
坂本さんって、ご自分を制御する能力が素晴らしいのだと思うの。
(わたしが萌えたライトニングの「行くぞ」を、同じ方が発してるとは思えない〜)
典型的なキャラの言い回しをうまく使ったコメディエンヌぶりとか、
自分が何を表現すべきかを、分析実行できてるというか。
 
「イッヒ」役、観たいかも?とか、ちらと思いました。 ←ここ、小文字で
 
 
よしおさんの声、
クリエの空間で初めて聴いたのかなあ、わたし。
言葉としての美しいフレーズ、音としての美しいフレーズ。拡がり。
くらくらくら。
 
わたしの中でジャーヴィスが、はじめて血肉を持ちました♪
 
ってか、女子にはお花畑な王子様を演じるって、男子には辛くない?
でもよろしく最後には、ジルーシャ(女子代表)を甘やかして跪いて抱きしめて、ねっ♪  
 
 
 
ところで、原作について。
 
 
バブリーな物欲満載に居直ってるけど、これは女子の永遠の夢なのかしら。
読んでて、鼻の穴が膨らむ〜
そうよ。ピンクのばらのつぼみは、白い箱に入ってなきゃいけないの〜
(そういえば最近、そういうラッピングはみかけなくなった?)
 
ルーシャが大きらいなギンガムチェックすら、わたしにはあこがれだったのよ〜!!
 
 o(_ _o) 
 
 
不思議だったのは、
わたしの中に焼き付けられた一節がありませんでした。そのシーンを読んだとき、あれ?となった。
すべて原文のままです、となっているから、モト本が違うのかな。
 
ふだんがお高いジュリアが突然コメディエンヌぶりを発揮したので、小学生のわたしは面食らったのです。
そして、
《ジュリアが顔を真っ赤にしてもぐもぐと「ジュディ嬢ちゃん、どうかしたべか」というので、みんなで笑い転げました。こうしたことをきっかけに、苦手な相手を少しずつ好きになれることって大切だと思いませんか》
みたいな、この一文が、わたしには座右の銘のひとつだったのに! なのに!
 
気のせいじゃないから。あったから! ここまで文章が刷り込まれてんだよ!
  
(確かジュリアの仮装が、黒人の田舎者だったと記憶してるの。
 だとしてもこの一文は、子供向けのその本の、翻訳者の意訳だったのかしら?)
 
 
100年前のアメリカの格差社会は、
逆に人間としての豊かさや思いやりを問う時代だったのかもしれないと感じるのは、
ルーシャの語り口があくまでも軽く、前向きだからかな。
格差に「暗いやっかみ」が含まれていないというか、
上流社会は目指す場所。ではあるけれど、ただし幸せとは限らない、みたいな。
 
むしろ、目の前の幸せを大切にしたほうがいい的な?
 
 
もうひとつ、社会主義が革新的な考え方だったらしい。あ、そうなんだ?
えっと。ハリウッドの赤狩りの前の時代よね。
ただ、言葉がすっごく、新しく、飛び込んできました。なんでだろう。
 
(現在の個人主義の反動の先は、ネットによる全体主義?と思いついたことがあって、
 だから社会主義という言葉があらためて新しく感じるのかもしれません)
 
 
今井さんの訳は、児童文学、シンデレラストーリーとしての評価を払拭したいとのことですが、
ホラね。
わたし、いろいろと触発されてますよ!
 
  

あしながおじさんあしながおじさん
価格:¥ 840(税込)
発売日:2014-03-05