あとりえあげん

世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。 HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

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『ミス・サイゴン』プレビュー

よそのブログのまったくの別件で、プレビュー期間は批評しないのが常識です!と読んでしまった。 ・・・・・・

こっ、これは、批評じゃないもん。というか、
後半は、ご本人たちと関係者以外、読んでもほぼ意味わからないし。

とりあえず、わかりやすい(わかりやすいか?)と思う説明、から。

 

2012/7/3 18:15- めぐろパーシモン大ホール

ところでこの大ホール! すばらしいかったよ。
歌ってて、気持ちよさそう。劇場の壁が味方になってくれて。極上の共振が美しいの!
たぶんオペラ公演を意識してるホールね。イチモンジがかなりたっぷりとってあっても、タッパが高いし。

が。
というにも係わらず、全体に聞き取れない日本語が多かったのは、残念です。
一番の課題か?
演出が日本人でないと、ニュアンス優先なのかどうしても発音のチェックが弱くなりますね。

(ちなみに、ここの地下稽古場は実はおなじみ。休憩時間、2階の女子トイレが壊れましたとアナウンスされると、迷いなくホールを出て、地下に向かえる自分。
そんなローカルなホールで、東宝大作ミュージカルが見られる! ここがスゴイ)

 

さて。
前にも少し書いたけれど、『ミス・サイゴン』は苦手な作品です。ロンドンで1回と東京で2回+イベントショーぐらいを観たのかな? それから25年ぶり?

今回、大幅にリメイクされました。

まずセットが一新。
映像をうまく使ってた、けど。
やはり。すばらしい!と、ここはどうなの?と、両方あります。演劇と映像の融合は、難しいのです。(レ・ミゼの新演出がマジどきどきだっ)
一幕の幕切れは、ほんっとにキレイ。映像と役者と他の効果とがちゃんと絡み合って、世界を作って、祈りになっていた。
あ。話題のヘリのシーンはね、やられましたよ。そーきたかぁと笑っちゃったけれど、わたしはあれでOKだと思います。頭いいなぁ。

あと、コンパクトで立体的なセット!
このおかげで作品が地方公演にもいけるようになったことは、大切。

 

そして25年ぶりに観たわけで。
たくさんの粒ぞろいで達者な役者さんたちや、その解釈や技術や心意気、
オケの音やら。
この25年で育った、日本の業界の厚みにもジンときたんだ。

大切にしなければ、ね。この積み重ね。
この大切と向き合って、大切にミュージカルをつくっていかなくては!

 

そしてもうひとつ、大きく変わったのがドラマとしての掘り下げです。
25年たてば、演劇論も変わるし、観客から求められるレベルも感覚も変わる。
ん。
時代を越えた、戦争批判も超えた、「普遍の」人間ドラマになっていたと思います。
(うん。なってた!)

 

 

25年前の『ミス・サイゴン』は、悲劇や人種を可哀想がる無神経さがホントに許せないドラマでしたので。ロンドンからは怒って帰ってきたし、東京では残念!だったし。
今回はね。
交互キャストが、いくくんと岡さんとちねんさんって、絶対に信用できる役者さんたちで組み合わせた回をうまく買えたから、観にいけたところもあります。
特に、クリスはホンットにどーしよーもない男だけど、いくくんなら新しい切り口を見せてくれる可能性が高いって期待。ちねんさんのキムなら、きっとわたしを説得してくれる。
これで外したら、あきらめがつく、と。え、そういう感覚でしたよ、わたし。

 

ちねんさん、ね。 ^m^ フフフフ
海外のスタッフさんからコッソリと、鞄に詰めて他の劇場にも持って行きたいキムだって、言われなかったかなぁ。
かあいらしくて、しなやかで細やかな、心を揺さぶられる魅力的なキム!
あたりまえだが、なにげない自然な母の仕草にキュンときました。
『いのち、あげよう』の説得力は、たぶんとても、新しい。別の意味で力強い。
田舎娘のとまどいも、恋に溺れていく様子も、ステキでした。どきどきと共感。
きゃー。いくくんに抱きしめられるって、いいわね。
難をいえば。ステキな女すぎて、クリスは最後の最後でなんでキムを選べない?と思わせたあたり、か?(これはちねんさんのせいではない)

岡さん、
ご自身がおっしゃっていた課題、200パーの出来でクリア。すごい。
『ブイドイ』、ほんっとに素晴らしかったです!
この歌は失敗すると、アメリカの偽善そのものになってしまう。それを良心とメッセージに変換するのは、ジョンの人柄をどう組み立てるかにかかわってくるわけですね。
あとね、うぁぁぁっ、声キレイだったぁ〜 ホールのよさと相まって、もうね、夢みたい。

いくくん、
お姫様抱っこと、女の子を抱きしめることにかけては、日本一だか世界一だかに思うのは、わたしだけかなぁ。
うひゃあ。ちねんキムとのフォーリンラブが甘い甘い。観てて、照れるよ。けど、目がそらせない。(笑笑っ つくづくオバサンだワ)
ステキな時間。客席からたくさん思い違いしてました〜

クリスの苦悩も、ちゃんと辿れてた。悩んで甘えた結果とはいえ、男の下半身の身勝手よね〜、とまで。結局、若気の至り、ってことになるのね、アメリカン。
(あー、ハラ立つ。 ^m^ スマン イククンノ セイデハナイワ)

今の年齢で、初役で、これだけ答えをだせるのはさすがでした。
で。これから先は、例によってわたしの欲張りだからね。

ってか、いくくんのいつもの正直。
とりあえずこうは演じているけれど、もっと他に別の答えがありそう?とか迷っているでしょ?と感じる。クリスの人間としての弱さや選択を、どう受け止めればいいのか。
笑笑っ 違うかな〜?
しかもしかも、それを表現できる尺も場面も、ほぼない。悩ましいわね。

――難しい。

しばらくは、
クリスが迷う自分のふがいなさとどう向き合うかあたりに、手探りがあるのかな、とか。
あと、いくくんが年齢を重ねることで手に入れられる解釈が、まだ見えないけど、きっとあるんだろうな、とか。そう思います。

そしてそれが、いくくんという役者さんに対する、わたしの期待なんだろうな、と。

 

市村さんのエンジニア。好きだわ。さすがだわ。
無力にもがき、悲しむ男の悲哀。そうね、悲哀、が市村さんの答えなのね。
そしてショーアップ!
TVの狭いフレームの中で『アメリカン・ドリーム』を披露してるのを見たとき、アレどうしちゃった?と思ったけれど、
舞台の大きな空間で、客席に向かって、役に充分に入りこんで、大勢のアンサンブルさんを従えて、初めて成立する歌だったのね。とわかったのです。

テーマは重い。だけど、これもエンターティンメント。だから人生を描けるの。

 

 

というあたりかな。
えっ、観ないの? 一回は観てらっしゃいよ! その価値はあるわよ。

と言うと、
オマエが言うかあ?って、石かナンカが飛んできそうだわネ。 (^o^)