2010.3.7. 14:00〜 SePT (プレビュー公演)
床の間の活け花のような印象でした。
つまり、緊張感のあるささやかな造形を通じて宇宙を感じるってヤツですね。
それが演劇に対する褒め言葉になるのか、欠点なのかは不明ですが。
ただ過去、そんな印象を持った舞台はなかったわけだから、これもひとつの解答例なのか。
マクベス、マクベス夫人、3人の魔女たちの計5名による『マクベス』です。
ダンカンとかバンコーとかその他のキャストは、とっかえひっかえ小物を被り替えて、全部、魔女たちが演じる。
という構図から、
運命に弄ばれた夫婦の野望と小心ぶりが際立つという趣向です。
前半の、夫人に手を引かれて呆然と歩くマクベス(萬斎さん)のダメっぷりが、少年のようにデリケート。
夫婦がちんまりと肩を寄せ合い座っている様子の凡人ぶりも、いい感じ。 王冠を戴いたときの薄っぺら感とかも。
それでも。
全般の意匠とか意向は、わたしには食傷系。 どんなもんだい!系の大熱演も。
ただ、
わたしの趣味ではないけれど、
そういうお約束のケレンというエンターティンメントも、観客のためには大切なのかなと思い。
テキストは河合祥一郎さん。
シェークスピアの翻訳は、ナンバーワンだと思っています。
そして今回は萬斎さんが、原作をものすごく刈り込んで、構成しなおしていると思うのだけれど。 今の日本ではこのくらいがちょうどいい。 テーマや描写が際立ってくる。
もはや原作どおりのシェークスピア上演には意味がないんじゃないでしょうか。