2010.3.6. 19:30〜 SPECIAL COLORS /身体の景色
今回のモチーフは別役実大先生の『舞え舞えかたつむり』でした。
前回にひとり、今回またひとり、と役者さんが増えたのですが、
身体と言葉を完全にばらばらと操作できる役者さんが、増えていくってのがスゴイ。
しかも、系統が違って。
ふだんはどこに隠れているんでしょうね?
ちなみに、ここまでご自分をデザインできる役者さんというのは、
造形的に人間が美しいです。
思いつめている女優さんの顔は、川本喜八郎氏の人形のようでした。
(↑NHKで昔やってた『三国志』とかの人形を創った巨匠です)
例によって、言葉は音としてのモチーフのひとつでしかなく。
別役さんがご覧になったら怒られそうだよねと演出の圭介くんは言ったけれど、
むしろ観ていただければよかったのに、とわたしは思う。
ここまで言葉の意味を消し去られてしまうのは、作家にとって不快かな。
ただ、不条理が、音楽に昇華されてたと思うので。
現在の東京で、トップクラスの前衛パフォーマンスじゃないのかなぁ。
そうだねえ。
今後、観客数をふやしてパフォーマンスを乱反射させるとしたら、
やっぱりそこには、別の計算が必要になってくるのかなあ。
空間の大きさ、今のままがベストなのかなあ。
主催者さんが何を求めているか、だねえ。
とか、考えてみる。
今回は少し、絶叫系だったが、
平坦な言葉、饒舌な身体、緊張と緩和の空気が、高い精神性をなぞる。
小道具のたてる音。 照明。
始めは、
それぞれの一方的な別の会話の断片が、ところどころ奇妙な一致を見せることから始まり、
無関係な動作が加わることで、不思議な時間の伸縮が始まり。
立場の入れ代わりとか。 滑稽で、意味のない感情の高揚、爆発とか。
やがて。
それぞれのモチーフが共鳴しあい、
だんだん、音楽を聴いているかのように、
自分の内面が拡がって、揺らされて、楽しくなってくる。
主張と伴奏と調和?
そして、さんざん無機質に構成しておきながら、
最後の最後のシーンだけがひどく感傷的。 美しい叙情。
これを田中圭介らしい感性とするのか、統一性の中のキズと捉えるかは、微妙、かな。
わたしは好きだったけどね。