あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『闘争か、逃走か。』を観た

2010.1.24. 19:00〜 シアタートラム / 演劇ユニットG.com

このユニット(プロデュースタイプです)は以前、友人の役者さんが客演したのを観にいき、策士が策に溺れている作風だなぁと思った記憶があった。 映像の使い方がおもしろかったのと、女性の描き方がちょっとカンに障ったのと。
でもそうして、好きじゃないけれどちゃんと作品を覚えている。 というのは、作品がかなりの強さを持っていたということなんだろうな。

今回の作品は、不条理劇が次第にSF的なテイストに移行していき、うん? あれ? おおっとか思っているうちに、ゆる〜い言葉でポンと投げ出されてしまう。
客席に潜むからだが、演劇的な世界につれていかれる不思議な体験。

使っているパーツは、わたしから見れば借り物的な知識なんだけど。
フェルマーの定理」がらみの台詞なんかは、引用元を指摘できるぐらい生煮えなんだが。
ちなみにそのコント部分に、客席で反応したのはわたしだけだった。
世の中は、そうか、素通りか。
となるとバッグの中の猫の名まえがシュレーディンガーであることに意識が反応している人は、どれだけいるんだ?とか。
そういう感じがね、策士が策に溺れてない?という印象に繋がるんだけどね。

不条理部分はすんごくおもしろく。
雨男という存在にSF的な詩情があって、ステキで。
いかにも音大生っぽい、腕は確かだけど存在感が素人な、ヴァイオリン・デュオの使い方がとてもチャーミングで。

 

客席で偶然、育ちゃんと会って、観終わったあとお茶をしながら。
小劇場で作り慣れた世界感や役者さんたちの、空間の制御力について。 どうなんだろうか、とか。 
照明がずいぶん空間をフォローしてたし、ちゃんと届いてはいたんだが、
いかにも小劇場なもっと密な空間で、ぎゅうぎゅう詰めになりながら観たら、たぶん違う印象に巻き込まれたよね、と。

小劇場劇団が、トラムで公演する怖さ、意味。
考えることはたくさんありそうだ。