あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

『TDV』 同じじゃない

そういえば、父が帝国ホテルのカレー(缶詰)が好きだったと思い出し、ご近所に出るついでだもの。 行きがけにガルガンチュアに寄る。
ホテルパーソンズは変わらないけれど、超一流ホテルの客の雰囲気が「ふつー」になったなあと感じる。
昔は高級感というのか、館内を歩くだけで緊張したものだけど。

劇場もそうだが「よそ行き」の場がなくなった気がする。

ちなみに、カレーその他は安い買い物ではないので。
自分の分は買わず。 6^_^ 
んで、荷物を抱えて数ブロック離れた劇場へ。 夏日の夕方はそれだけで汗だく。

          [E:snow]

          2009.8.8. 17・30〜 帝国劇場

1幕が、別物になっていた……。
これは自然と、そういう流れになって雰囲気が出てきたのか、
この回にささやかなアクシデントがあり、全員でさりげないフォローをされてたわけで、
だからいつにない緊張感と一緒に、いつもと違う空気があぶりだされたからなのかは、
不明ですが。
シャガールさんが飛び出したあと〜マグダまでのシーンに、「人を喪う重い哀しみ」があぶりだされていました。
コメディを創っている中で、これはすごいことではないかと。

舞台にはマモノがいて、アクシデントは絶対に起こり。
よりよい対応(つまりインプロ?)を迫られた結果、思いもよらない効果が生まれるっていうのは、怖さと同じ重さで、快感、でもあるのかも? 少なくとも観ているほうには。

別のシーンでは、指揮者さんがうまくひっぱってらして、
そう対応するのかと感心する以上に、
この舞台はこんなにも秒単位で段取りが続いているんだと実感して、
……呆れる。
こんなドタバタした中でみなさん、よく自在に「表現」をしてるよなあ。 すごい。

 

昨日のわたしの席の周辺はね、ミュージカルを見慣れてないなってお客が多かったのですが、なんかねえ、子どもミュージカルを観ている子どもたちって雰囲気で(わかる?)。
声をあげて笑うとか、目を輝かせて通路を振り返り続けてるとか。
無邪気に幸せそうで。 うれしかった。
だからクコール劇場が、あ〜すっげえマニアック〜、とも思ったんだけれど。 ま、いいんだろうな。 クコール劇場だもの。 わかるようになりたければ、いろんな劇場に通いなさいなってことで。

 

このカンパニーの中で、一番欲望と戦っているのは実は教授なのではないかと密かに思っています。
いろんな意味ですごい役者さんだな〜と毎回観ているのですが、
ほんとはもっと役を遊び倒したいところを、下品にならないぎりぎりのラインで抑えてるのではないかと。
あとね、日本語ってこんなにキレイに発音できるんだなあって。 「論理〜論理〜♪」って響きには毎回ホレボレしてマス。

 

で、2人のサラと2人のアルフレートについてなど。

大塚さんはずっと素直なサラだなという印象で。 
「もっと自由な♪」の「yu〜」という声がぽーんと飛んで、客席にいるこちらの胸にストンと届いてくるのが大好きで。
ご自分の顔を平気で血まみれにしたのには驚いたけど、そんな思い切りの良さがまたチャーミング。
先日、人間としてちょっと変化が出てきた?と感じてまして。 うまく言葉で捉えきれないのだけれど、この方はかわいいだけのキャラじゃないな。 人の持つ暗さも抱え込めるのかも?とか。
というわけで、まだこの先のサラが楽しみです。 (来年再演の『R』も)

知念さんは(恐ろしいことに)ティーンエイジャーのサラで。
自分勝手にスネたり、無防備だったり。
アルフレートよりも伯爵さま(大人の世界)が憧れなのネって感じる。
そのくせ誰よりもエッチ度も高く、からだの芯を熱い血が吹き上げ突き抜けている様子にどきどきさせられる。
そりゃ、ストーリーを通してサラは少女からオンナになるんだけどね。
あ〜、吸血鬼とか血が流れるって、そーいう意味だよねえ、と思わされる。
(となると、マグダは今さら? オンナに目覚める、のかな?)
(あ、これさ、中世にあった領主の初夜権とかにも繋がったりするのかなあ)

アルフレートはおふたりが全然違うキャラになっていて、それに都度違う対応をしている周囲のキャストも一緒に楽しいです。
舞台がフレッシュに保たれている一因?

泉見さんは緻密に創られたアルフレィト。 気配り・気苦労、包容力。
2幕の『サラへ』が、7月は切実なラブソングだったのが、8月(昨日の)には、お、立ち直りから妄想への歌か?という印象に。 アルフレィトの性格としてはこれもありだけれど、ご本人の意図するところなのかは……どうなのかなあ。
泉見さんのアルフレィトがステキなのは、サラの歌声をすごくよく聴いていて、完璧に音をあわせて歌ってらっしゃること。 サラが愛に包まれて見えるの。
そしてツボは、「悪くない」のあの声の変化だよねえ。

浦井さんは感情が豊かで、天真爛漫なアルフレート。
あまりの一生懸命さぶりに(どこまでが計算なのかわからないです)あちこちで観客の笑いを取り、ちょっとだけ教授の内なる競争心をあぶっている?ような。
面白がられ、かわいがられて? 
それにしてもあの容貌で、子どものようにぎゃーぎゃー泣き喚く思い切りの良さが大好きです。 思わず、舞台じゃなくて通路に気持ちを引っ張られるのが、楽しいの。

 

墓場からヴァンパイアがぞろぞろ、のシーン。
あ、背中から落ちてくるヒトが増えた、と思ってたら、昨日は普通に出てきてたし。
悪夢のシーンは未だに、あれ? そこってそういう振り付けだっけ?と思うことが多いし。

眼、が足りない〜。
と思いつつ、同じところは毎回、見てたいしねえ。

 

あ。
城主さまについて、か。
昨日の1幕の各場面、特に幕切れのアルフレィトとの。
歌が対話として立ち上がってきていて、わくわくしました〜。

あとは〜、まあ、いっか。 うーん。 どうなんだろうな。