あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

「ルドルフ-ザ・ラスト・キス-」を観た

               2008/5/11 17・30〜 帝国劇場 

だって数日前に、チケット状況はどーなのかなー?ってサイトを覗いたら、G40がぽとりと残っているんだもの〜♪
ただ、今回は失敗かも。 前方過ぎた。
装置がステキで壮大で、照明がめちゃ美しくて壮大で、も少し離れて観たほうがたぶんよかった。 
まだ観てない? 観てらっしゃい。 いろんな語り草があります。

いやあ、スゴイことになっています。 
くるくると休むことなく緊張感のある美意識を持って、転換。 転換。 転換。
舞踏会のシーンは、やってくれました。 ひゃあ。
帝劇ってスゴイ劇場だったのね。
夫婦喧嘩のあげくその舞踏室に戻ってくるのも、すごい効果で。

額縁の使い方もいいの。 公園の額縁なんて、そのまま心象風景になっている。

馬車のシーンの美しさ。 スピード感。 泣きそうです。

そして衣装。 

1ヶ月公演ですよね。 あれで採算あうんですか? お金を出してもらえちゃうのは亜門サンの手腕ですか?
演出プラン、スッゴイです。 キャスト・スタッフ、息を切らしていることを、足元がふらついていることを隠しながら、必死です。 でもプランも振り付けも大正解な図面を引いてますから、どうぞかじりついていってください。
そして、
こなれたところで、千秋楽なんだろうなあ。 うわ、もったいない。 
あ、再演が前提か?

ウエスト・サイドやファンタスティックスの舞台演出のオマージュなんだろうなあという箇所。
うまく使ってあって、1幕でルドルフと恋をしている気分になりそうでした。 男性だったら、たぶんマリーとね。 
しかも不吉な恋。 ジョーカーがひとり、いつもシーンに混じっているのが人生の影を感じさせるの。

まあ、不満もないわけではなくて。

ルドルフの正妻さんは、思いきって葵の上(年上のプライドとコンプレックス)にしたほうが図式がハッキリするんじゃないのかな、とか。  

音。 
なんで前から7番目に座っているのに、オケをピットからではなくて左右のスピーカーから増幅させて聞かなきゃならないの? 後方の席に感想を聞きたいところだ。

台詞(歌)。
欧米人ならともかく、日本人は高めた感情をそのままガナリあげても、メッセージは伝えられないと思うの。
大切なことは、……低い声で、……囁くように。
ホラ、お客は耳をそばだてた!!! (今、あなたが眼を凝らしているように!)

台本。
心中モノを見慣れている日本人には、後半もっと違う切り口もありかなあ、とか。
描き方は美しかった。 引っかかるのは、追い詰められる(盛り上がる、ではない)心情の持っていき方です。
父親やターフェを完全悪役にするのも、子どもっぽい解釈でしょう。 やさしく(恋に)狂っているのは若いふたりの方なのだし。 こっちを正当化しちゃいけません。

 

だとしても、
やばいなぁ、「R」でまだスタンディングしてないのになぁ、などと思いながら、ごめん。 最後は立って拍手してきちゃいました。